かつて終末博士(Dr. Doom)と呼ばれたヌリエル・ルービニ ニューヨーク大学教授が、米経済への強気見通しを継続し、好況博士(Dr. Boom)と茶化されている。
しかし、経済はともかく、社会に対する見方では、教授は今もとびきりの終末博士であるようだ。
「私は1年以上前から、将来の技術により生産性上昇が加速すると言ってきた。・・・
これは米中間のゲームであり、米潜在成長率はすでに2%を超え、2030年までに4%に近づくと言ってきた。」
ルービニ教授がBloombergで、AIをはじめとする多くの技術革新が米経済の生産性・潜在成長率を上昇させると語った。
次期FRB議長に指名されているケビン・ウォーシュ氏をはじめとし、インフレ低下とともに利下げが行われるとの見方があることについて、教授は「正しくない」と指摘する。
潜在成長率が上昇すれば均衡実質長期金利も上昇し、実質政策金利も高くなると予想するためだ。
ましてや、インフレがまだ2%目標より高いうちは、利下げは正当化しにくいという。
こうした強気見通しに対し、キャスターの1人が「私は以前『終末博士』と呼ばれる人を知っていたのに・・・彼に何が起こったの?」と話しかけている。
ルービニ教授は「テックは関税に勝る」と語り、自身を「テック楽観者」と呼んだ。
テックによるイノベーションに比べれば、その他の構造的要因も「2次の項」に過ぎないという。
ただし、視点を変えるとルービニ教授は依然としてとびきりの終末博士だ。
「最終的には恒久的な技術による失業が起こると信じている。
しかし、それまではJカーブ効果の逆のようになる。」
足下の失業率は低く、当面はAIインフラ需要等で雇用の堅調が続くが、最終的には技術が雇用を奪うという世界観だ。
2030年までに経済成長が4%、2046-2050年までに汎用AIで10%になれば、失業率は80%になる。
でも、経済成長が10%で失業率80%、5年ごとに倍になる世界の方がよい。
課税して再配分できる。
ルービニ教授がこうした終末論を語ったところで、スタジオに奇妙な安心と笑いが戻った。
ルービニ教授は、自身の連邦税・地方税の限界税率が54%であり、さらに不動産税や売上税を払っていると紹介する。
すでに実質的にユニバーサルベーシックインカムが実施されているに等しいと指摘。
今後もこれが拡大していくと予想し、2つの理由を挙げた。
不気味な説得力があり、ルービニ劇場は止まらない。
理由1は、もしもそうしないと、民主主義である限り、革命となるからだ。
理由2は、もしもそうしないと、総需要が不足するためだ。
金持ちは日に3食より多く、100回食べられるわけではないので、総需要不足になる。
マルクスは正しかった。
労働分配が縮小し、資本への分配が増えれば、消費が不足し、資本主義は内部から崩壊する。
それを避ける唯一の道は、勝者から敗者への再分配だ。
