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サイクルが戻ってくるかもしれない:PIMCO

PIMCOのリチャード・クラリダ氏らが「長期展望」の中で大きな経済・市場の変化について予想している。

最近ドル安となったものの、私たちは、私たちが趨勢的と考えるホライズンにおいて米ドルが世界の支配的準備通貨の地位を失うことはほぼありえないと信じている。
1つの理由は、外為・外貨債務・銀行貸出の市場において他に可能性のあるライバルがいないことだ。
米財務省はいまだに強いドルを望むと公言しており、米政権は弱いドルを狙うマールアラーゴ合意の考えから後退しつつあるように見える。

クラリダ氏らPIMCOの重鎮たちが長期展望の中で書いている。
この展望レポートは、予想される大きな趨勢的変化について多くのポイントを網羅しており、一読するとよい。
以下、注目の論点を紹介しよう。

関税の物価への影響: ほとんどの国にとってディスインフレ要因。米国には短期でインフレ要因。米国とそれ以外の金融政策の乖離要因に。
米インフレは長期では目標水準に戻り、FF金利は中立金利(約3%)まで低下。

米ドル: 短期・長期の両方で弱気相場になりうる。

債務水準
「債務は過去最高水準に近いものの、ほとんどの先進国で持続可能な水準にとどまっている。
顕著な例外は日・米・仏であり、長期的方向性で持続不可能となっており、昨年より悪化している。
主に利払い費の上昇により、財政赤字がパンデミック前の水準より高止まりする可能性が高い。・・・
ただし、これらの問題は急激なものでなく慢性的なもののように見える。
私たちは突然の財政危機ではなく、時折起こる市場ボラティリティ上昇を予想している。・・・
メインシナリオでは、米ドルの準備通貨としての地位に支えられ、趨勢的なホライズンで、米国債はソブリン債の中で最もきれいな汚いシャツであり続けると考えている。」

「リスクはあるものの、喜ばしいことに、多くの新興国経済では管理可能な債務水準を維持しており、潜在的な追い風となっている。」

投資へのインプリケーション: 

  • アクティブ投資が有効。
  • イールドカーブの再スティープ化を予想。5-10年の部分をオーバーウェイトし、長期側をアンダーウェイト。
  • 高格付け債券の利回りに妙味。
  • 米国株は割高。
  • 世界(先進国・新興国)の債券への分散を。
  • 長期金利急騰で株式・クレジット市場が荒れれば各国が量的緩和へ。
  • 未公開市場(株・クレジット)は景気後退なら急激に悪化。

クラリダ氏らは、各国の財政政策の余地が小さくなっている点に注目。
クレジット市場に本来の周期的浮き沈みが戻ってくる可能性を指摘している。

クレジット・スプレッドは、趨勢的な景気後退の可能性の上昇にもかかわらず、歴史的平均と比べてタイトなままで、公開・未公開の企業クレジット市場全体での油断を示している。・・・
財政政策の余地が限られているため最近の『押し目買い』時代とは異なり、純粋なクレジット・デフォルト・サイクルが久しぶりに戻って来るかもしれず、そうなれば準備の出来ていない投資家が災難を被る。


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