ジェレミー・シーゲル教授が珍しく米国株の株価水準を「高すぎる」と話している。
「第1四半期の業績開示では、ほとんどのCEOが先行き悪化の予想を示した以外、何も関税による影響が出ていない。」
シーゲル教授がウィズダム・ツリーのポッドキャストで、良好な企業利益を喜びつつも、やや心配を語っている。
マクロ経済のハードデータと同様、あまりにも関税・DOGE等によるマイナス要因が表れていないからだ。
株価もまた急速に回復している。
S&P 500は2日まで9日続伸で5,686.67まで上昇し、タリフマン・ショックを消した形だ。
3月末が5,611.85、「解放の日」前日の4月1日は5,633.07だった。
シーゲル教授は、米市場が戻した理由について3つの可能性を示している。
- まだ関税の影響が物価に表れていない。駆け込み輸入やガソリン価格下落。
- ドル安が企業利益に追い風に。
- 市場は、関税交渉によって関税率が大幅に引き下げられると予想している。
シーゲル教授は現状の株価が、史上最高値の10%下であり、トランプ大統領選出の直前の水準であると指摘。
一方、教授は関税が経済や企業活動に悪影響を与えると考えているし、トランプ関税がゼロにまで引き下げられるとは思っていない。
また、年後半に予想される減税は前回とは異なり小幅なものであり、市場は期待し過ぎだという。
したがって、現状のシーゲル教授の相場観はこうだ:
株式市場の価格は高すぎるが、現在の市場でショートするのは危険だ。
ショートが危険である明らかな理由とは、1つのツイートで3、4、5%株価が急騰してしまうからだ。
何もアナウンスがなければ徐々に状況は悪化するのかもしれないが、何か関税引き下げやそれにつながる合意・表明があれば急騰するので、空売りは危ういとのアドバイスだ。
シーゲル教授はVIXが23と長期平均の20近くまで低下していると指摘。
これがヘッジの減少、つまり投資家の危機感が低下していることを示しているという。
6-7日のFOMCについてシーゲル教授は据え置きを予想
ただし、利下げすべきとの意見は変えていない。
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