ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイ年次株主総会から: 手許現金を積み上げている理由。
わが社が持っている多額の現金は、今後投資するためのものだ。
例えば、最近も100億ドルの投資に近づく話があった。
でも(よいチャンスがあれば)1,000億ドル投資したい。
そういう判断は難しいものではない。
バフェット氏が、手許現金を積み上げている理由を尋ねられて答えた。
1,000億ドルといえば約15兆円。
それを投じる判断も「難しくない」とは恐れ入る。
(ただし、理に適い、理解でき、お買い得であることが条件だとし、無理に深追いしないとも述べている。)
「投資事業の問題の1つは、案件が規則的にやってこないことだ。・・・
16,000営業日(200営業日×80年)、毎日4つぐらいの案件が来るならすばらしい。・・・
でも、この商売はそうじゃない。
とてもチャンスに波のある商売なんだ。」
2025年5月 バークシャー・ハザウェイ年次株主総会
バフェット氏は故チャーリー・マンガー氏の言葉を回想する。
チャーリーはいつも、私たちが多くやりすぎだと考えていた。
人生で5つぐらいの投資にすれば、50年やってきたよりもっとよい結果になっただろうと。
バフェット氏いわく、例えば1件500億ドルの案件に絞ればよいが、そう都合よく案件が見つかるものでもないという。
だから、現金を抱え待たねばならないのだ。
バフェット氏は、現金を持って待つことが誤りだとは考えていない。
「誰も明日、来週、来月市場がどうなるかわからない。・・・
でもみんなその話ばかりしている。
話しやすい話題だからだろうが、価値はない。
私はそういう話を聞きたいと思う相手に出会ったことがない。」
マーケット・タイミングは不可能との話。
市場の下げを見越して手許現金を増やしているとの観測に対して否定的な回答を返したのかもしれない。
バフェット氏は、日本の5大商社との出会いを投資における典型例として挙げた。
「投資は宝さがしのようなもの。
いつも時々何かが見つかる。
時々、とてもまれにだが、再び見つかる。
いつになるかはわからない。・・・
5年先になるかもしれないが、50年は待たないだろう。・・・
明日かもしれないが、その可能性はとても低い。」
バフェット氏は適切に待つ時間が長くなればなるほどよい案件に出会う確率が上がると話す。
ここで、老人の悪い癖が出る。
よい案件に出会う確率を人の余命に喩えたのだ。
10歳児より115歳の人の方が亡くなる確率が高いと。
しかも、それだけではない。
「寿命の長さの記録はすべて女性が保有している。
私はチャーリーに、性転換してどうなるか試してみろと促したんだ。
彼は男性のままでもかなり長く生きたよ。」