モルガン・スタンレー資産運用部門のリサ・シャレット氏は、米国債の不人気が心配される中、イールドカーブの短期側は十分に役割を果たしうると指摘している。
「1年の折り返しに近づくにつれ、ほとんどの投資家は最近の株価指数の強さによってS&P 500の追加投資の誘惑に駆られているのかもしれない。
しかし、私たちはその誘惑に抗しようとしている。
最近の市場動向は、年初来で債券が株式をアウトパフォームしているという事実を忘れさせているかもしれない。」
シャレット氏が自社ポッドキャストで23日、米国株市場にやや慎重なスタンスを滲ませた。
同社ストラテジスト兼CIOのマイク・ウィルソン氏よりもやや控えめな姿勢に聞こえる。
理由はどうやらフォーカスの違い、フィクストインカム市場への見方にあるようだ。
ウィルソン氏が米国株ストラテジストであるのに対し、シャレット氏はクロスアセットの資産運用を担当している。
シャレット氏は、米フィクストインカム市場へのプラス/マイナス要因を列挙しつつ、現状を次のように評価している。
「全体として、私たちの理解は、これらが2009年以来の2重の危機からの回復の最終章を反映した、金利とタームプレミアムにおける健全な進展であるというものだ。」
シャレット氏は債券市場の正常化について多くのポイントを語っている。
- 中立金利は上昇し、FRBによる介入は必要とされていない。
- 株高が予想されても、債券の役割が失われていない:
- 国債利回りは平均で4%を超えている。
- 多くの不確実性の中、株式リスクプレミアムはゼロ近傍と20年来の最低水準のまま。つまり株高。
- イールドカーブはスティープでなく、利下げなら短中期ゾーンに恩恵。
- 銀行の資本規制緩和やステープルコイン関連立法は短期国債にプラス。
- 株式と債券の相関は、長期側で正だが、短期側では負。
米国債の人気に陰りが見える中で、シャレット氏はこれだけの利点を見ているのである。
同氏は、短中期デュレーションの投資適格債や地方債の検討を促している。
シャレット氏は依然として分散投資の重要性を強調している。
米国株の平均リターンが5-10%で、ボラティリティが高く、実質金利が高く、米ドルが安くなるような環境に合うようにポートフォリオを設定しろ。
また、国際株式、コモディティ、エネルギー、インフラ、ヘッジファンドを加え、分散を図れ。