ふくおかFGの佐々木融氏は、日本が来年2026年に金融・財政政策や為替相場について重要なポイントを迎えると話している。
米国はまだ来年もう少し利下げがある見通しだが、他の国、オーストラリアやニュージーランド、カナダなどについて、市場では来年は利上げになるという予想になっている。
来年他の国が利上げに向かい始めると、日本は完全に周回遅れになってしまう。
佐々木氏が自社ビデオ配信で、日本の金融政策正常化の遅れを指摘した。
この遅れこそが、昨今の円安の一因となっているのは明らかだ。
同氏は、来年の日銀による利上げ回数を尋ねられ、次のように答えている:
- 今月19日に利上げし、政策金利は0.75%に
- 市場は、来年1回強の利上げを織り込んでいる(1回なら1.00%に)
佐々木氏は、日銀が市場予想程度の利上げしかしない場合、円安が進行すると予想している。
「アベノミクス導入時にはデフレで円高だった。・・・
今は円安で高インフレなのに同じようなことをしようとしている。・・・
結果的に実質金利がマイナスになり円安になっているので、(来年)あと1回ぐらいの利上げでは多分ダメだろう。
来年2回ぐらいは利上げがあるのではないか。
それでも多分円安傾向に歯止めがかからず、もしかするとどこかで政府と日銀が気づき、ちゃんと利上げしなければいけないという話になるかもしれない。」
佐々木氏は、過去5年連続で円が主要10通貨中8位以下の弱い通貨になっていると指摘。
「大幅マイナスの実質金利」、「持っていたら損をする通貨」であるため日本から資本が流出していると理由を説明した。
米国やドル円を別とすれば、他の主要国が利上げに転じる場合、日銀が多少の利上げを行っても、円金利との差は広がってしまう。
一方、実質金利をプラスにするために利上げを進める場合は財政が悪化し困難がともなうとも解説。
仮に十分な利上げができない場合、円安が進行するだろうと語った。
佐々木氏は、最近上昇している長期金利については、過去の水準と比べて「当たり前」の水準に戻っただけとの考えだ。
ただし、上昇のスピードによっては「日銀なり政治家がパニックになる」かもしれないという。
「例えば、来年早々にも2%台をどんどん上がっていき3%に近づいてくるようなら、日銀が買入れを増やす可能性があると思う。・・・
日銀がそれをやり始めたら、円安はもっと進む。
やってはいけないことだと思う。・・・
例えば、長期金利を無理に抑えようとすれば、そのしわ寄せは円相場に来る。」
みんなが長期債の利回りに不満を持って買わなくなれば、それは長期債の価値が下がるということだろう。
価値が下がるものの価格を無理やり維持しようとすれば、価格の単位、つまり円という通貨が安くなるしかなくなる。
日本国債は自国通貨建てであり、おそらくデフォルトは選択されない。
(敗戦後の混乱期でも、日本は国債をデフォルトしなかった。)
日本国債の価格はたいして下がらないだろうが、みんなが敬遠すれば、その価値は下がる。
それでも価格を維持すれば、尺度である円の価値が下がるのである。
佐々木氏は円安の是非を問われて「円は強くないと日本として困るだろう」と答えている。
エネルギー、食糧、防衛、医薬品、デジタルサービスなど多くの分野で輸入に依存しており、円が弱くなれば生活が苦しくなると解説した。
通貨が弱くなることで企業収益や税収が増えると言われるが、それは単に円建ての名目値が膨らんでいるだけであまり意味がない。・・・
通貨下落によって数字上膨らんでいるのでいいじゃないかと思われるが、実はどんどん苦しくなっているだけだ。
