ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイ年次株主総会から: 外貨投資における為替ヘッジについての方針、特に日本への投資について。
「日本への投資は永く続けると考えており、安く調達できているので、状況は異なる。
わが社では、ある程度日本資産を円による資金調達とマッチさせようとしている。
しかし、それが方針というわけではなく、実際今回が初めてだ。
わが社では多くの外貨建て証券を保有してきたが、四半期・年次の利益への影響の問題という点で何かしてはいない。」
バフェット氏が、外貨投資にかかわる為替ヘッジについての考え方について語った。
日本の5大商社では円建て調達によって為替リスクがヘッジされているものの、通常は短期的に為替ヘッジを行うつもりはないという。
短期の為替影響にこだわると数字をいじりたくなる衝動に駆られかねないとして、短期のヘッジはしないとの方針だ。
一方で、自国通貨ドルの信認が揺らいでいる点には強い懸念を示している。
当然だが、奈落に堕ちる通貨建てのものは保有したくない。
これこそ米国の通貨について私が危惧する大問題だ。
バフェット氏は、政府が自国通貨安を望む傾向についてコメントしている。
「通貨安にしようという力が働くだろう。
年次報告書でも短く触れたが、米国の財政政策について心配している。・・・
貨幣に問題を及ぼすことになる様々なモチベーションが高まっている。
でも、これは米国だけでなく世界中の話であり、いくつかの国ではしばしば制御不能になっている。」
バフェット氏はこの方向性を半ば必然と捉えつつ、その脅威を語る。
「最終的には、通貨をコントロールできる人々を操れれば、紙幣を増やすことができ、数世紀前のように通貨を減価させることができる。・・・
政府が行き着く当然の方向性とは、長い時間をかけ通貨の価値をなくすことだ。
それが重大な結果を生む。
それを防ぐチェック&バランスを築くのはとても難しい。」
政府が中央銀行に圧力を及ぼすのは、アベノミクスでもトランプノミクスでも見られてきたことだ。
こうした圧力は往々にして財政悪化とともに発動される。
「(この100日間)財政リスクを生まないようにしようとする姿を見てきた。
これは終わっていないし、決して決着しない。
第2次大戦後の高インフレを検索してみれば、同じ名前が長々と出てくる。
通貨の価値とは恐ろしいものだ。
それに対処するすぐれたシステムは存在しない。」
2025年5月 バークシャー・ハザウェイ年次株主総会
バフェット氏は、5大商社への投資で例外的に為替リスクを中和したことについて「50-100年あるいはそれ以上持つと考えているため」と話している。
この点についてはグレッグ・アベル副会長が次のように付言している。
「5大商社への投資に基本的にとても満足しているという点に疑問はないし、円に投資していると認識している。
円で借りることができているという事実は、すばらしい付加的なチャンスだった。」
つまり、商社株ロングも円ショートも、両方とも大きなチャンスだったと言いたいのだ。