ケン・フィッシャー氏が、押し目買いのチャンスを狙って待機資金を現金で持つ戦略に対しダメを出している。
伝統的な知恵の中で間違っているものの1つが、人によって金額こそ違えど
『予期せぬ押し目買いのチャンスに備えていくらか現金を持っておけ』
というものだ。・・・
これは本当に悪い考えだ。
フィッシャー氏が自社ビデオで、将来の下落を待つことの落とし穴を指摘した。
ここで言う「現金」とは、現預金や短期の債券(MMFなど)を指している。
同氏の主眼は押し目買いの是非ではなく、そのために少なからぬ現金を持ち続ける結果になることの是非だ。
2つの理由が挙がっている:
- 買えないまま現金を持ち続けることになる: 世界のほとんどの株式市場では下落する期間の3倍ほど上昇する期間がある。完璧なマーケット・タイマー以外は待ちの期間が長くなりすぎる。
- 弱気相場で裏目に出る: 弱気相場で押し目買いをすると損失を増やし、結局、底値近くで拾う余力が減ってしまう。
フィッシャー氏は押し目買いという概念自体に潜む根本的な矛盾を指摘する:
- 完璧なマーケット・タイマー: 押し目買いに備える必要がない。上げでは全額を投資し、ピークで現金化すればよい。
- 通常の投資家: 底値を予見できず、大きな下げでは恐怖のために買いのチャンスを見逃し、場合によっては売ってしまう。
投資家のほぼすべて(おそらくすべて)は完璧なマーケット・タイマーではないはずだ。
フィッシャー氏は、押し目買いのための待機資金を持ち続ける弊害を説明している。
「ほとんどの場合、現金を持ち続ければコストが発生する。
現金はインフレを被る。
とても多くの場合、現金のリターンはとても低い。」
これは、実質金利が中期ゾーンまでマイナスとなっている日本では特に深刻な問題だ。
米国では実質金利は(急激な金融緩和期を除き)プラスであることが多いが、それでもフィッシャー氏が満足できる水準ではないのだろう。
押し目買いを長い間待つことになれば、少なからぬ機会損失(投資しなかったことで逃した利益のこと)を被ることになる。
フィッシャー氏は、押し目買いのための待機資金を維持することは「採用する価値のある戦略ではない」と結論づけている。
米市場をはじめとして株式市場では概して上昇局面の方が下落局面より圧倒的に長いことが多い。
しかも、米市場の場合、新たなピークが前回のピークを超える傾向が極めて強い。
日本のバブル後を振り返るとこの経験則が成り立たないように感じられるかもしれないが、経済がデフレを脱しディスインフレ、インフレと変化した今となっては考えの切り替えも必要になろう。
待機資金の持ち方については(特にインフレを勘案し)工夫が必要だ。
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