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プラザ合意に「根強く残る神話」と真実:PIMCO

PIMCOのリチャード・クラリダ氏(元FRB副議長、元米財務次官補)が、プラザ合意の二匹目のどじょうを狙おうとする「マールアラーゴ合意」についてその実効性に疑問を投げかけている。


プラザ合意とルーブル合意は、貴重な歴史的教訓を与えてくれます。
協調的な為替介入は、政策の意図を示し、一時的に為替レートに影響を与えることはできますが、持続的な調整には、協力的な金融政策と財政政策が必要です。

クラリダ氏が自社ウェブサイトとFTで、貿易不均衡を解消する方策について書いている。
プラザ合意が米貿易赤字を減らしたと言われていることについて、少なくとも為替介入が有効だったとする見方について「根強く残る神話」だと切って捨てている。
では何がドル安を実現し、米貿易赤字を減らしたのか。
同氏は2点を挙げている。

  • 金融緩和: ボルカー・ショックにより高インフレを脱した米国では「1984年10月(プラザ合意の11ヵ月前)から1986年12月(ルーブル合意の2ヵ月前)の間に、FRBは政策金利を12%から6%に引き下げ」ている。
  • 財政再建: レーガン政権後期「米国の財政赤字は40%近く削減され」た。政府支出の減少は国内需要を減らし純輸入を減らす。逆に日独が政府支出を増やせば、国内供給の一部を吸収して純輸出が減る。

クラリダ氏は、プラザ合意後の円安の主因が為替介入でなく金融財政政策にあったことは「実証的証拠と学術研究」によって示されていると書いている。
その点で、現在しばしば取沙汰される「マールアラーゴ合意」について実効性が疑われると示唆している。

提唱されているマール・ア・ラーゴ合意は、概念的には似ていますが、金融政策の柔軟性が限られている点、財政健全化の見通しが不透明である点、そして複雑な地政学を考慮しなければならない点など、現代ならではの課題に直面しています。

つまりは、ドル安で米貿易赤字を減らしたいなら、ドル相場や債務といった結果を操作するのではなく、もっと根本・原因の部分を変える必要があるということだろう。
そして、それはけんか腰ではなく協調的な話し合いでしか実現しえないのだろう。


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