海外経済 国内経済 投資

ピーター・シフが想定する日本と米国の2つのシナリオ

ユーロ・パシフィック・アセット・マネジメントのピーター・シフ氏が、政策運営次第では日本が危機に発展し、それが米国に波及しかねないと話している。


「FRBが金利をとても長い間とても低くとどめたため、みんなお金を借りた。
いわゆる識者と呼ばれる人たちが、みんな安いお金を利用すべき、可能な限り政府が安いお金を利用し借金すべき、個人も会社も安いお金を借りるべき、と言っていたのを憶えている。
私は、これが間違った論理だと指摘し続けた。
そこで使った比喩は、ヘロインがタダだったらどうするか、というものだった。」

シフ氏が自身のYouTubeチャンネルで、長く続いた金融緩和を批判し、その弊害が顕在化しつつあると話した。
同氏は、仮に安いお金を借りても、それを生産的目的の投資に用い元利を返済するのなら問題はなかったと認めている。
しかし、現実に借金で調達されたお金の多くが投資ではなく消費に向かった点を問題視している。
特に政府のバラマキを問題視する。

「債務を返済するための資産が何も残っていない。
あるのは、よりたくさん働いて税金を多く納めなければいけない米納税者だ。
あるいは、FRBが貨幣を増発しなければならなくなり、インフレが進んでしまう。」

シフ氏は、インフレにより金利が上昇する場合、いっそう政府をはじめとする債務者の首を絞めることになると警告する。
もっとも、今回のビデオの主たるモチーフは米財政ではない。
日本で起こりうる危機だ。

時間軸で言うと、日本の危機の方が早くやって来るかもしれない。
日本の危機は米国の危機になるかもしれない。
日本の危機が米国のバブルを弾けさせるかもしれない。
日本のバブル崩壊が米国のより大きなバブルを弾けさせるのだ。

シフ氏は、円安が進む中で日本が政策金利を1%と低い水準にとどめている点を危機の源泉だと指摘する。

「日本の政策金利は大きく引き上げられるかもしれない。
日本はおそらく3%まで利上げが必要だろう。
3%で十分かどうかわからないが、それがスタートラインだ。
もしも1.25-1.50%に留まるなら、火に油を注ぐことになる。」

シフ氏は日本経済の置かれた状況、あるいはそれに対する人々の意見をとてもよく勉強している。
(日本にとっては望ましいことではなかろうが)それを米国を始めとする英語圏の人々に対し実にわかりやすく解説している。
同氏は日本のこれまでの金融緩和を厳しく批判している。

「愚かなことに、日本がやってきた円安誘導政策は、とっくの昔に退出すべきだった多くのゾンビ企業を温存した。
日本は金利を人為的に低く抑え、円を弱くしようとして、それに成功したんだ!
円安になり、円は40年で最弱の状況だ。
…それは日本の経済の救いにはならない。
輸出入の助けにさえなっていない。」

シフ氏は、円安になっても輸出が増えず、交易条件が悪化している日本の状況を紹介している。

(次ページ: ピーター・シフが想定する2つのシナリオ)

 次のページ 

-海外経済, 国内経済, 投資
-, , , , ,

執筆:

記事またはコラムは、筆者の個人的見解に基づくものです。記事またはコラムに書かれた情報は、商用目的ではありません。記事またはコラムは投資勧誘を行うためのものではなく、投資の意思決定のために使うのには適しません。記事またはコラムは参考情報を提供することを目的としており、財務・税務・法務等のアドバイスを行うものではありません。浜町SCIは一定の信頼性を維持するための合理的な範囲で努力していますが、完全なものではありません。 本文中に《》で囲んだ部分がありますが、これは引用ではなく強調のためのものです。 本サイトでは、オンライン書店などのアフィリエイト・リンクを含むページがあります。 その他利用規約をご覧ください。