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ハワード・マークス ハワード・マークスが説く、投資先の探し方

オークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏が、一般の聴衆に対して投資の基本を語っている。
自身が理事に名を連ねる教会での講演だ。


マークス氏はまず、教会に集まった人たちに投資の基本となる3つの考え方を解説した:
効率的市場仮説リスク/リターンのトレードオフ市場サイクルだ。
その後、質問に答えているが、その中から興味深いものを紹介しよう。

マークス氏は、リスクが大きくても取りたいと考える投資分野を尋ねられている。
いつもなら答えない質問だが、この日は教会の聴衆相手だったせいか、具体例まで言及している。
(ただし、こうしたテーマは得意でない、自分は買わないと断った上での回答だった。)
マークス氏はまず一般論として、次の2つのタイプの資産のいずれを選ぶべきか問うている。

  • 「みんなが知っており、理解していると感じており、良いと思っており、楽観視しており、立派だと考え、前向きに捉えているもの」
  • 「みんなが完全には理解していないか、理解していないと考えており、あまり立派でない、好ましくない、リスクがある、怖いと感じ、悲観的に捉えているもの」

そして当然ながら、ディストレストの第一人者はバーゲンが後者にあると話す。

一般論で言って、みんなが好むものを買うのは良いアイデアではなく、みんなが嫌っているものを買うのが良いアイデアだ。
(後者の)タイプのすべてを買ってはいけないが、この中から物色するべきだ。

マークス氏は、推奨しないと断った上で、数年前みんなが「投資できない」と話していた頃の中国を例に挙げている。

AIなど新たに有望とされる分野への見方を尋ねられると、そうした分野は競合も大きく、価値も定まりにくいとコメントし、2つの落とし穴について注意喚起している。
1つ目は「宝くじアプローチ」と呼ぶものだ。

「ある株を買ったら、その会社は2%の確率で商売を続け、商売を続けるならお金が1百万倍になるので、買う。・・・
これは、みんなの背中を押すアップサイドの持つ毒性だ。」

仮に本当に2%の確率で1百万倍になるなら買っていいはずだが、実際にはそうならないと考えているのだろう。
VCやグロース投資の世界に《千三つ》という言葉がある。
大当たりを引き当てる確率は千に三つという意味だ。
もっとも、千三つが1百万倍に化けると期待するのも、まだとんでもなく楽観的すぎるのだろう。

(余談になるが、日本の年末ジャンボ宝くじの賞金は1等が前後賞合わせて10億円。
3本900円が10億円、つまり1.1百万倍に化ける可能性がある。
ただし、1等の的中確率は20百万分の1であり、3本買って前後賞まで当たる確率はさらに下がる。
これに比べれば、投資の世界でのオッズがはるかによいことを願いたい。)

マークス氏が指摘したもう1つの落とし穴は新分野でのバブル発生時の群集心理である。

みんな、今日のリーダーが明日もリーダーであり続けると仮定するが、それは疑わしい。
さらに、他の多くの企業も成功すると仮定するが、そうした仮定は通常信頼性がない。
だから、新しいものに投資する時には警戒心を持って行わなければいけない。


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