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デービッド・アインホーンの素直でわかりやすい投資戦術

グリーンライトに限らず、ほとんどの投資家にとって先行きは不確実・不安定だ。
いつになっても霧が晴れない状況が続いている。


「第2次トランプ政権はまだ5%経過したにすぎない。
ジムで言えば、20回の腕立てをするのに1回だけでもう疲弊してしまったようなものだ。」

書簡では、政治について書くことは気が進まないと書いているが、目下の市場変動要因を考えれば避けては通れない。
グリーンライトは、目まぐるしく変わるニュースに踊らされるのではなく、比較的明らかな「大きな絵」に注目するよう奨めている。
その「大きな絵」とは

  • 政権は破壊的。
  • 米国第一主義では、世界の民主主義・資本主義・経済発展・自由より不公平の是正が優先され、米国は孤立するかもしれない。
  • リバタリアン的な政府運営。しかし、コスト削減目標は当初目標から大幅に引き下げられている。
  • 米国の再工業化の問題点: 貿易赤字・国際分業に対する誤認、時間のかかる生産拠点建設、中国に対する過小評価、ドルに対する信認の喪失。
  • 株式市場を気にかけない方針は妥当だが、本当に可能か疑問。

書簡では、2日の「解放の日」の前から経済はすでに鈍化しており、関税はそれに追い打ちをかけていると指摘。
すでに景気後退入りしている可能性もあるという。
当然、本格的な弱気相場入りが心配されることになる。

弱気相場は一直線に下がるものではない。・・・
よって、わが社ではネットでショートして大金を儲けようとはしない。
かわりにグロスとネットのエクスポージャーを下げた。・・・
目標は、株式ポートフォリオの資金を守り、チャンスが来た時に大きな購買力を持って臨むことだ。

ポーカーの名手は、賭けすぎず、降りすぎないスタンスを続けているようだ。

いつもなら個別の投資先について詳述するのだが、今回の書簡では多くを政治とマクロにあてている。
マクロ投資についても、政策に起因する戦術が並ぶ。

  • 金と金オプションを引き続き保有。25%上昇なら喜ぶが、1000%上昇なら(米国の凋落を意味し)喜べない。
  • FRB利下げが市場予想を超えると予想、SOFR先物を大きくロング。
  • 対ユーロ・対円でのドルの大幅安のためのテール・リスク対策。
  • インフレ上昇を見込んで長期のインフレ・スワップ。

この書簡では、多くの投資家の共感を呼びそうな一言が印象的だった。

頑張れ、あと19回だ。


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