ジェレミー・シーゲル教授が、2月の米雇用統計や米・イラン間対立についてコメントしている。
6日発表の2月の米雇用統計は:
- 非農業部門就業者数(前月比): -92千人(市場予想+57千人)
- 失業率: 4.4%(前月比ならびに市場予想は4.3%)
- 平均時給(前年比): 3.8%(市場予想3.7%)
特に就業者数の減少が目を引く。
1月の就業者数も大幅ではないものの下方修正されている。
「こんなにたくさんの財をどうやって少ない人員で生産しているのか?
生産性が上がっているんだ。・・・
競合によって消えてしまうまでの短期で見れば、利益率や利益にとってよい話だ。」
シーゲル教授がウィズダムツリーのポッドキャストで、米生産性が上昇している可能性を指摘した。
弱い雇用統計にも関わらず米GDPが堅調である理由を論じたものだ。
雇用が弱くとも、教授の強気は揺らがない。
ではシーゲル教授がいつものように強気かと言うと、そうでもない。
米・イラン間の対立が最も大きなリスクとして浮上してきたからだ。
予想より混乱が大きくなっており、原油価格が上がり続けている。
もしもホルムズ海峡の原油輸送が絶たれるなら、原油は1バレル100ドルを超える可能性がある。
シーゲル教授は、影響の1つとして米10年債利回り上昇を挙げている。
金利上昇の理由として、原油価格上昇によるインフレ圧力、FRB利下げ観測の後退を挙げている。
「もしも原油が上がり続ければ、経済軟化のシナリオが現実化する可能性が増す。
ただし、それが経済の軟化となるか、生産性の急上昇となるかはわからない。」
前者の「経済の軟化」はイメージしやすい。
原油価格上昇が経済の下押し圧力を及ぼすという意味だ。
後者の「生産性の急上昇」は少々悲しいシナリオだ。
AI等の助けもあって、雇用が失われることで生産性上昇が実現し、企業や株式市場に悪影響がほとんど及ばないとするシナリオであり、K型経済の深刻化を想起させる。
シーゲル教授は、決して地政学的リスクを一方的なインフレ要因と見ているわけではない。
かつてOPECが原油価格を支配していた頃にミルトン・フリードマンが言っていた「これは相対的なものだ」という言葉を引いて説明した。
経済への悪影響やドル高などはディスインフレ要因になるとの指摘だ。
「マクロ経済を見れば、原油価格の上昇とその他すべての価格の下落となるだろう。
マネーサプライを変えなければ、基本的に物価は同水準にとどまる。」
マネーサプライ不変という前提付きながらも、インフレへの影響は一概に言えないとの意見だ。
そもそも原油価格上昇という要因が需要サイドの話でないこともあり、シーゲル教授は従前どおりFF金利を3%台の低い方まで利下げすべきと主張している。
最近市場に不安を与えているプラベートクレジットの問題についても、シーゲル教授は引き続き、市場全体に影響が及ぶものとは見ていない。
信用サイクルの一局面で見られる話だとし「金鉱のカナリア」ではないとの考えだ。
教授は、現在の最大の課題を米・イラン対立と明言し、あまりよい見通しを持っていないと漏らしている。
(イランについて)何かよいことが起これば・・・、今の状況はあまりよくないが、もしも停戦のようなことが実現しホルムズ海峡が動き出せば・・・市場ではすべてのものが急反発するだろう。・・・
問題は、現在悪いシナリオの方の確率が上昇している点だ。
だから原油価格は上がり続けており、火に油を注いでいる。
