資産運用会社の創業者でBloombergコラムニストを務めるニア・ケイサー氏がBloomberg OpinionのYouTubeチャンネルで、お金にかかわる諸々の算数を紹介するシリーズを始めている。
「みんながもっと裕福になれない理由は市場のボラティリティではない。
一番の理由は、みんなが年取って貯蓄・投資する時間がなくなるまでチャンスに気づかないことだ。
このビデオは、それを変えようとする控えめな挑戦だ。」
ケイサー氏が第1回で言いたかったのは、早いうちから始めようということ。
内容はオーソドックスなもので、FP読者なら定性的には理解していることばかりだ。
ただし、何事にも新たな発見があるものだ。
さらに、このビデオが面白いのは、米国でのいくつかの数字、特に意識調査の数字が、新たなレジームを感じさせる点にある。
アメリカ人はいくらあれば「裕福」になれる?
ケイサー氏は裕福になるための方法を考える上で、まず「裕福」とは何かを定義している。
チャールズシュワブの最近の意識調査の結果(平均値)をもって、ひとまず「裕福」を資産2.2百万ドル(約3.3億円)と定義している。
《億りびと》のみなさん、ゴールはまだまだ先のようだ。
(ほとんどの人がその金額を達成すべき年齢として65歳と答えたという。
ここにはサプライズはない。)
そんなに昔でもない時代、老後資金として考えられていたのは1百万ドルぐらいだったと思う。
1百万ドルで裕福というわけではなかったのだろうが、そこそこの生活を見込めていたはずだ。
アメリカ人の多くが、裕福であるために必要な金額を大きく引き上げたのだろう。
いうまでもなくディスインフレの時代からインフレの時代になったためだ。
ケイサー氏もほぼすべての品目で物価が上昇したと指摘し、これに対抗するための最良の投資先として米国ほかの株式市場を推している。
株式が最も簡単で安上がりな投資先だという。
「同様に重要なのは、株式市場がインフレを大幅に上回ってきた長い実績を有している点だ。」
ディスインフレの時代に老後資金を計算する際、あまりインフレを強く意識することはなかった。
しかし、今や、インフレはこの計算において最も重大な要因の1つと意識されている。
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