大学基金のオルタナティブ投資ではイェール大学基金のデービッド・スウェンセン氏が有名だ。
いち早くPE投資に着手し、1985年からの35年で年13.1%のリターンを上げた。
他大学の寄付基金もこれに倣い追随してきた。
あまり一般化するべきではないだろうが、そもそもオルタナティブ投資の流動性の低さは(ブーム時の例外こそあれ)当たり前のこと。
投資には良い時と悪い時があり、時期によってはキャッシュリターンが小さくなることもある。
オルタナティブならなおさら、時期によって投資家・受給者に還元が難しくなることがある。
最近ジェフリー・ガンドラック氏が度々話しているが、大学の寄付基金がキャッシュ不足に喘いでいる。
これは、トランプ大統領による大学いじめの前からの話だ。
事態は、大統領による助成金凍結によっていっそう深刻化しており、借金や資産売却を迫られるところも少なくない。
ハーバード大学やイェール大学といったアイビーリーグの名門も例外ではない。
(むしろ、機を見るに敏だっただけ、大きく突っ込んでいた。)
資産クラスにもよるが、売り手が個人をターゲットにしているとすれば、それは機関投資家の穴を埋めるためなのだろう。
ババを掴まないよう注意が必要だ。
ダモダラン教授は、オルタナティブ投資を検討するにあたっての注意点を4点挙げている:
1. 銘柄選択:
アルファでなく、分散を重視。
PEやVCの魅力は薄まり、一部ヘッジファンド(凡庸なファンドはダメ)、金、収集品の魅力が増す。
暗号資産はまだ判断がつかない(特に相関面での優位性に疑問)。
3. ホライズンと現金需要:
最終投資家のホライズン・現金需要、さらにはリスク許容度に合った商品でないといけない。
4. 相関とアルファ
過去の相関関係・αは将来のそれらを指し示すとは限らない。
特にαは漸減傾向にある。
あえて後回しにした2番目の注意点はコストと理解しやすさだった。
(奇しくもウォーレン・バフェット氏がしばしば注意喚起してきた項目だ。
このうちコスト面について、ダモダラン節が炸裂している。
お叱りを受けるリスクを承知した上で言うなら、ヘッジファンドに(年)2%(成功報酬)20%を支払うような寄付基金や年金基金の運用者は、そのファンドのトラックレコードがどんなに優れているとしても、まず頭の検査を受け、そして直ちに解雇されるべきだ。