米CNBCが少々ショッキングな特集ビデオを公開している。
そのビデオは、とある情報セキュリティVBの創業者兼CTOがリモートで採用面接を行っているところから始まっている。
求職者「・・・」(訳注:プライバシーのため消音)
CTO「いえ冗談じゃなくて、あなたが何かのソフトを使っていないか確認したいんです。」
求職者(顔の横に手を持っていくが、決して顔の前にはかざさない。)
CTO「わかりました。ありがとう。さようなら。」
CTOによれば、この求職者のライブ動画あるいはアイデンティティ自体がフェイクなのだという。
今、世界ではディープ・フェイクの人格による職探しが急増しているらしい。
有名人でなく、一般市民に化けるフェイクである。
背景には、パンデミックで普及したリモート・ワーク、作文が得意な生成AIの発達などがある。
ある音声生体認証VBによれば、2025年の求職者の16.8%がフェイクだったという。
調査会社ガートナーは、2028年までに求職者の1/4がフェイクになると予想している。
フェイク求職者はほとんどの場合、単にお金を稼ぐことを目的としているらしい。
北朝鮮など制裁対象国、犯罪組織などの構成員が他人のアイデンティティを乗っ取り就職を試みるのだという。
さらには、就職後に就職先の情報を抜き取ろうとしたり、スパイソフトなどを設置しようとする例もあるという。
こうなると、企業・政府にとってもセキュリティ上の大問題だ。
AIブームに沸く世界では、AIが人間から職を奪うのではないかとの心配も聞かれる。
もちろんそれも心配だが、AIが生み出すフェイクな人間もリアルな人間から職を奪う可能性がある。
ビデオでは、コストをかけてもリアルでの面接、リアルな職場が必要になると予想する一方、フェイク排除のためにリアルな人間の採用プロセスが遅滞することを心配している。