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【短信】米雇用は明らかに悪化している:ジェフリー・ガンドラック

ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏が1日発表の弱い雇用統計を受けて、米長期債・米ドルへの弱気スタンスを強めている。


「金曜日、突然FF金利と2年債利回りの差が劇的に開いた。
2年債利回りが約25 bp下がり、FF金利は2年債利回りより70 bpも高くなるという伸びきった水準だ。
2年債は利下げを見越しており、これは昨年9月に50 bpの利下げを強いられることになった12か月前を想起させる。」

ガンドラック氏がCNBCで、1日の弱い雇用統計がもたらした変化を解説した。
同氏は従前から2年債利回りがFF金利を先回りしている、あるいはFF金利が2年債利回りに追随すると主張してきた。
次回の雇用統計も弱い結果となれば、50 bpの利下げの可能性が出て来るとの読みだ。
ガンドラック氏は現時点で年内の利下げ回数を(1回25 bpとして)2回と予想し、場合によっては3回もありうると語った。

ガンドラック氏は従前どおり米イールドカーブの長期側について弱気だ。

「私は何度も2年30年スプレッドが150 bpポイントになるのを見てきた。
今は110 bpだが、そうなると強く考えている。」

ガンドラック氏は、昨年9月からの計100 bpの利下げ時に長期金利がいつもとは異なり上昇した点を指摘し、利下げが長期側の金利を引き下げるとは限らないと示唆した。
4月の米国株の調整時にドルが下落したのも2010年以来初めてのことだったとし「多くの古いプロトコルが弱くなっている」と話した。
同氏は過去18年にわたる米国への資金流入が逆転していると見て、米長期債と米ドルに弱気のスタンスを継続している。

「米国債の長期側を避け、3-5年に投資するのがよい。
2年債はどんどん妙味がなくなっている。」

パウエルFRB議長の去就について尋ねられると、ガンドラック氏は辞任すべきでないと答えている。

パウエル議長が交代となれば、辞任だろうが任期を全うしようが、誰かハト派と交代することになる。
これは米ドルにとってマイナスであり、長期債にとって大きなマイナスだ。

ガンドラック氏は「雇用が明らかに弱くなっている」と見ている。
景気後退がやってくれば、米財政はさらに悪化し、さらに長期債の悪材料になるという。

「私は過去数年考えてきたアイデアを維持している:
次の景気後退では米長期国債の上昇はないだろう。」

長期債上昇がないとは、長期金利の低下がないということ。
しかし、新たなハト派のFRB議長は長期債を買わないのだろうか?
ガンドラック氏はこれに言及していないが、日本人はその帰結を知っている。
市場の実勢に反し長期金利を抑え込めば、自国通貨建てで国債価格を支えることができる。
しかし、その代理として通貨が下落する。

ガンドラック氏は「ドルに対する弱気派」を自認する。
したがって、長期のホライズンで外国株への投資を推奨している。


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