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【短信】投資のチャンスはそんなにたくさんは必要ない:ビル・アックマン

パーシング・スクエアのビル・アックマン氏が、投資主体のあり方、ロイヤリティ企業への投資について語っている。


長期投資家として運用を行う問題点は、運用資本が足の速い資金の場合、銀行のように取り付けが起こりうる点だ。

アックマン氏がForbesのインタビューで、近年行った組織変更の意図について語った。

アックマン氏は過去直面した苦境について語っている。
それは、ある製薬会社への投資が失敗に終わり、株価が大きく下落した時だ。
この失敗を見て、多くのヘッジファンド(アックマン氏の友人が先頭に立っていた)がアックマン氏の足下を見たのである。
アックマン氏のファンドが資金引出しにあうと見て、アックマン氏が保有する銘柄をショートし、ショートする銘柄をロングしてきたのだという。
まさに血も涙もない業界だ。

アックマン氏は2020年に史上最大規模のSPACを上場させたが、パンデミックの影響もあり投資が進まず、2022年に調達した資金を返還している。
その後2024年クローズドエンドファンドを上場し、再び資金調達を行っている。
同氏は、この上場ファンドをウォーレン・バフェット氏のバークシャー・ハザウェイのアックマン・バージョンだと語っている。
投資資金を株主資本として調達し、借入れと合わせて投資に充てる。
これにより《取り付け》の心配は低減し、「恒久的資本」への第一歩となったと話している。
(バークシャーの場合は、保険事業で預かる保険料を運用する構造になっており、より安定的な資金調達が実現している。)

要は、投資家も銀行のようにALMが必要ということ。
調達側と運用側で流動性(やデュレーション等)をある程度合致させる必要があるということだろう。

アックマン氏はこのインタビューで、ロイヤリティ企業への投資妙味についても触れている。

最良の事業とは、資本を投資せずに恒久的に成長するキャッシュフローを得ている事業だ。・・・
こうした企業はブランドを保有し、他の人たちが資本を投資している。

インタビュー中にはティム・ホートンズ、ユニバーサル・ミュージック、ヒルトン、ウーバー、アマゾンが例として言及されている。
もちろんロイヤリティ企業がすべて有望というわけではない。
結局は、ロイヤリティ企業以外にも共通する一般的な条件が重要になる。

カギとなるのは、どのロイヤリティが耐久性のあるものなのかだ。
そちらの方がよほど複雑な問題だ。

アックマン氏は、年に1つか2つ耐久性のある銘柄が見つかればラッキーだという。
投資ファンドとしては少ないようにも思えるが、同氏に言わせれば、それだけ見つかれば「十分」なのだという。


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