アリアンツ主席経済顧問モハメド・エラリアン氏は、米国が先進国でなく途上国のような挙動を見せているとし、行く末を五分五分と語っている。
米国において、通常は途上国でより共通する市場の相関がみられている。
例えば、金利が上昇するのに通貨が安くなるなど。・・・
債券と株式の間の負の相関が崩れている。
エラリアン氏がYahoo Financeで、米経済・市場の変化の兆しを指摘している。
米国が先進国でなく途上国の性格を強めているのではないかとの推測だ。
同氏はこの変化の一因として「米国が国内システムを作り直そうとしているため」と解説し、その帰結を2パターン予想している。
本当の問題は、これが米国がよい結果を生もうとして変えているレーガン・モーメントなのか、米国がスタグフレーションと最終的には景気後退を招いて終わったジミー・カーター・モーメントなのかだ。
第40代大統領ロナルド・レーガン(在任期間1981年1月20日–1989年1月20日)は、「レーガノミクス」と呼ばれる積極財政により経済の回復をもたらす一方、双子の赤字も拡大させた。
外交ではタカ派で鳴らし「強いアメリカ」を復活させた。
1970年代のインフレを退治して繁栄の時代を築いたとして、人気の高い大統領だ。
第39代大統領ジミー・カーター(1977年1月20日–1981年1月20日)の時代には、経済面での失政と石油危機などにより高インフレと景気低迷が続き、1978年には「カーター・ショック」と呼ばれるドル防衛策まで発動される事態となった。
冷戦の中で「人権外交」を掲げ、軍縮や紛争解決に努め、後にノーベル平和賞を受賞したが、こうした融和的な政策が政権の弱腰、米国の弱体化とみなされることもあり、1期のみでホワイトハウスから去った。
今回の結末はレーガン時代か、カーター時代か。
エラリアン氏は今のところ50:50だという。
一方、市場はもっと分がよいと見ているとし、市場の2つの解釈を理由に挙げている:
- 米企業と米国は同一のものではなく、米企業は強い。
- 最終的にはエスカレートをやめる、つまりTACOトレードを見込んでいる。
エラリアン氏が市場と比べてやや慎重なのは、企業経営者のスタンスを目の当たりにしているからだ。
企業経営にとって関税率が30%になるか10%になるかは大問題であり、多くの経営者が最終決着まで様子見を続けざるをえないと指摘した。
エラリアン氏は、世界経済における中国の位置づけについても言及している。
「中国は現在もはや世界の経済成長の原動力ではなくなり、実際のところ心配のタネになっている。・・・
心配なのは、中国がEUをはじめとする他市場へダンピング輸出を始めていることで、それが通商上の緊張を生んでいる。」
中国は再び世界にデフレを輸出し始めている。
あるいは、そうせざるをえない状況に追い込まれているようだ。