株価あるいはバリュエーションが高いと考えられている市場では株式リスクプレミアムが低くなると予想されるのは、ある意味常識的なことだ。
ジェレミー・シーゲル教授は、PERと企業利益の関係を解説した。
「問題なのは、PERが23倍というのは(実質)将来リターン4.8%(訳注:おそらく23の逆数4.3%と言いたかったのだろう)を示唆するが、それはPERが23倍に留まることを仮定している。
さらに成長率を勘案すると・・・仮にAI株の利益成長がとても急速な率で継続すると考えるなら(23倍は)悲観的すぎるし、PERがその数字に留まると考えるなら楽観的すぎることになる。
もちろん、利益が実際にその率で成長するかに関わっている。
もしもPERデフレを信じ、利益もその率で成長しないのなら、利益が予想ほど高くなくPERが低下する二重苦になる。」
高PERは多くの場合、高い利益成長期待によってもたらされる。
(理論的には割引率の急低下によることもありうる。)
企業の利益は長い目で見れば発散するように成長を続けることはない。
だから、高成長と高PERの両方がいつまでも継続しうるとは考えるべきではない。
シーゲル教授は明言こそしなかったものの、高成長と高PER両方への期待が続いてきた一部銘柄に危うさを感じているのだろう。
今回のポッドキャストのタイトルは「モメンタムへのレクイエム」。
全体的に慎重なムードが漂っている。
シーゲル教授の第一声も「政府が再開するより閉鎖中の方がよかった」だった。
それでも教授は、この数日の冴えない相場が「弱気相場の始まりだとは思わない」と語った。
ただし、市場の思いには変化が見られるとも指摘した。
「AI(インフラ)構築についての疑問があり、その分野からいくらか離れる動きがあった。
水曜日にはヘルスケアと金融が相場を史上最高値に押し上げた。」
民間統計からは雇用の悪化が心配され、関税による物価と消費への心配もまだ拭いきれない。
FRBは雇用とインフレという2つの使命の間で利下げに躊躇している。
12月利下げに対する市場予想も概ね半々だ。
シーゲル教授は、今は市場が経済指標から先行きを見定めようとしている最中と解説した。
CNBCを聞いていたら、大手小売りの売上は彼らが思うほどには伸びないと言う人がいた。・・・
このニュースが続くようなら、5-10%(下落)で定義される『調整』の可能性を間違いなく勘案することになる。
その程度の下げなら、私は安心して買うだろう。
