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ハワード・マークス 権力は腐敗し、絶対的権力は絶対的に腐敗する:ハワード・マークス

オークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏が、アクトン卿の言葉を経済・市場に当てはめて現状を解説している。


「アクトン卿は『権力は腐敗し、絶対的権力は絶対的に腐敗する』と言った。」

マークス氏が自社のポッドキャストで、英国の歴史家・思想家ジョン・アクトンの言葉を紹介した。
このポッドキャストは同氏が1月に公表したMemoに関する対談。
対談相手は金融ライターのエドワード・チャンセラー氏。

もちろん、マークス氏は某国の腐敗しきった与党のことを語ったわけではない。
世界の金融市場における金利を権力になぞらえたものだ。

チャーリー(・マンガー)は『金融緩和は腐敗し、強力な金融緩和は絶対的に腐敗する』と言った。
・・・これは私自身のテーマであり、私たちが書いてきたのは、低すぎる金利が腐敗を引き起こす影響のことだ。

現在の市場がバブルなのかどうかについては、定義の問題も含めて多くの議論があろう。
少なくとも、マークス氏は、過去長く続いた強力な金融緩和が市場や経済に歪をもたらしたと考えているようだ。
しかも、それを議論するには少し遅すぎると考えている節がある。

「誤りは悪い判断にある。
ハイエクが『誤投資』(malinvestment)と呼んだものだ。・・・
誤りが起こるのは誤って行われた時点だが、それが明らかになるのは環境におけるイベントによりストレスが加わった時だ。」

これまでの金融緩和で誤投資が多く行われたとすれば、それが明らかになるのはこれからだという示唆だろう。
マークス氏はウォーレン・バフェット氏の『誰が裸で泳いでいるかは潮が引いた時にわかる』、自身の著書の『家の建築欠陥は地震が起こった時に明らかになる』という言葉も紹介している。

話題がAIになると、マークス氏はお気に入りのマーク・トウェインの名言「歴史は繰り返さないが韻を踏む」を引用しつつ、2000年のインターネット・バブルの教訓を語った。

1999年のインターネットと同様、私は大胆な2つの予言をしよう。
1つ目は、AIは世界を変える。
2つ目は、AIを目当てに現在人々が投資しているほとんどの企業は最終的には無価値になる。
これら2つのことは矛盾しない。
考えの足りない、あるいは望みの多い投資家が、抗しがたいトレンドが確実な利益を生むと信じ込んだ時、問題が発生する。

マークス氏は、AIバブルがいつか崩壊すると予想している。
そして、バブル崩壊は市場心理の振れの結果起こるとし、心理を揺らす最たるものが過剰な(高・低)金利だと話す。

「金利が低すぎると、投機的行動やリスク資産での利益追求を助長する。
高すぎると、金融市場からの撤退や、価格下落やプロジェクト不採用などの形の痛みをもたらす。」

マークス氏は、投資にマクロ予想を用いないことで有名。
そのマークス氏が5回だけ市場予想を語ったことがある。
昨年公表したMemoでは、そのいずれもが的中だったと振り返っている。
同氏は今回、それらの共通項について説明している。

いずれのケースでも基本的に、2000年のテクノロジー、2008年の住宅ローンといった該当領域の専門知識によって予想したのではない。
むしろ、投資家行動を理解し、市場の温度を測ったことによるものだ。
市場の体温とは主に中央銀行の金利や投機的行動への影響にかかわる政策によって決まることを念頭に置いておこう。

本記事ではマークス氏の発言を取り上げたが、実は対談相手のエドワード・チャンセラー氏の発言も相当に面白くボリュームがある。
原本を当たられるとよいだろう。
参考までにチャンセラー氏の著作から2点を紹介しておく(リンクはAmazon):


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