ここでデービッド・アインホーン氏による市場解説を思い出そう。
同氏は、インデックス投資などパッシブ投資が市場価値を歪めていくプロセスを説明した。
結果「割高株はアウトパフォームし、割安株はアンダーパフォームする」と言い、これがバリュー投資の業界を衰退させたと話した。
市場が下落を始めれば、この自己強化的なサイクルは逆転する。
想像に難くないが、自己強化的なサイクルが逆転すると、逆回転も自己強化的になる場合が多い。
割高株が売られ、割安株が買われるようなサイクルだ。
ところが、株式市場はそんなに甘くない。
市場全体が下落する過程では、投資家側の事情から、割高株だけでなく割安株まで売られてしまうことが多い。
程度の差こそあれ、全面的に売られてしまうのだ。
もちろん長期投資家ならば気長に待つという手はある。
しかし、長期投資家でも割高株に投資していた場合、調整を回避するのは難しい。
アインホーン氏はバリュー投資について絶望しているわけではなく、ワクワクしていると述べた。
投資の果実を市場株価からではなく発行体から得ようというアイデアだ。
企業がきちんと稼いでいる限り、仮に株価が上昇しなくとも、株主は還元を受けうる可能性がある。
同氏のような投資家からすれば、市場全体の下落は最高の買い場なのかもしれない。
それはもちろん、バリュー投資の先達、ウォーレン・バフェット氏にとっても同じことだろう。
バークシャーの40兆円がそれを暗示しているのだと考えれば、投資家はむしろ今後の経過をワクワクしながら眺めるべきかもしれない。