オークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏が、足下のハイイールド債市場についての魅力度を検証している。
2022年以降、好パフォーマンスを上げた市場は足下ではどうなのか。
2022年、投資家はFRB利上げが景気後退をもたらしかねないと考え、それがハイイールド債のリスクをカバーする平均イールド・スプレッドを4%超へと高めた。
結果、出来上がりの利回りはおよそ9.5%へと上昇した。
この時私は、約定のリターンが
(a) 絶対的に高い
(b) 契約上のリターンであり比較的安全
(c) ほとんどの機関投資家の目標リターンを超えている
と説明し、ポートフォリオにおいて大きく配分すべきと主張した。
マークス氏が最新のMemo「Gimme Credit」で、ハイイールド債が絶好の買い場となった2022年を回想した。
表題は《もっとクレジット投資をしよう》、《当たったから評価してね》という2つの含意であろう。
マークス氏が上記の主張をしたのは、2022年5月一部投資家のみに送った「潮目の変化」(リンク先は公式の日本語訳)と題する書簡においてである。
この書簡は半年後に一般公開され、今に至るまで多くの投資家・メディアの記憶に残っている。
半年間も公開されていなかったところを見ても、マークス氏からすれば確信のある投資推奨だったのだろうし、追ってポジショントークを公開することで刈り取りを確実にしたかったのだろう。
実際、この推奨はそれに従った投資家をかなり潤したと言ってよい。
リーマン危機後の超金融緩和時代、ハイイールド債のみならず、クレジット投資全般が低リターンに喘いでいた。
2022年初頭ハイイールド債の利回りは4%台。
それが、同年3月からのFRB利上げで一変し、9%台まで上昇したのだ。
もちろんリターン上昇は一部リスクの上昇をも意味するかもしれない。
しかし、結果的に米景気は底堅く、2023-24年の2年間でハイイールド債市場は年率10.8%のリターンを上げたのである。
マークス氏はその活況の当然の帰結を書いている:
「価格上昇の裏側にあるのはもちろん予想リターンの低下である。」
問題は、もはや買い場は終わったのか、である。
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