ウォートンの魔術師ジェレミー・シーゲル教授が、変わらぬ強気予想を話しているが、どうやら《永遠のブル》の強気にも期限があるようだ。
今年は経済にとってすばらしい年になる。
多くの人が考えているよりはるかに経済が拡大する。
シーゲル教授がウォートン校公式YouTubeチャネルで、相変わらずの強気コメントを連発している。
その一方で、言葉の端々に不安材料も感じ取れる。
今年はまた、インフレの年になる。
劇的なインフレではないが、過去より高いインフレ、3、4、5%になる。
これは株式市場にとって追い風だ。
シーゲル教授は、過去よりは高いが有害とは言い切れない水準までインフレが進むと予想している。
このインフレが株式にとって有利とはどういうことか。
「FRBは2022年まで、おそらく2023年も信用を引き締めることはないだろう。
つまり、低い短期金利が維持され、インフレが沸騰を始め、企業収益はとても強くなるために株式市場は押し上げられる。」
過去半世紀の米景気サイクルを終わらせてきたのは、FRBの金融引き締めだ。
景気が拡大し、インフレが高まり、FRBが金融引き締めに転じ、ついに景気の腰を折ってしまう。
ところが、現在のFRBのスタンスは異なる。
仮にインフレが進んでも、雇用など実体経済の回復が済まないうちは金融引き締めを行わないとの意思を表明している。
FRBがブレーキ・ポイントを遅らせるなら、株式市場もより長い上昇期を享受することになる。
一方、インフレで不利になる投資対象も存在する。
「敗者は債券保有者だ。
長期債の金利が上昇するためだ。
米10年債利回りは上昇し、年末に2%、2022年末には3%になるかもしれない。」
シーゲル教授は、将来市場に悪影響を及ぼしうるものとして行き過ぎたインフレ・金利の上昇のほか、バイデン政権の財政政策を挙げた。
- 増税: 今年中に、インフラ法案と同時にトランプ減税の大半を打ち消すような増税(法人・個人)が提案されると予想される。
- 財政出動の反動: 財政出動が終われば、反動が避けられない。
- 追加財政出動: 議会を通過しつつある1.9兆ドルの財政出動が過大に思える。
こうした不安材料を念頭に、シーゲル教授は時限付きで強気予想を続けている。
今年はまだ株式市場にとってすばらしい年になる。
年末までに少し買われすぎになるかもしれない。
特にインフレが過熱してくれば、2022年は一旦停止するかもしれない。
しかし、今後12か月は基本的に強い経済、強い株式市場、長期債金利の上昇を予想している。