ハワード・マークス
 

【書評】市場サイクルを極める

執筆:

Oaktree Capitalのハワード・マークス氏による投資哲学の第2弾。
前著『投資で一番大切な20の教え』の中から市場サイクルに関する部分にスポットライトを当てて詳説している。


「勝率を高める王道の投資哲学」との副題がついている。
市場サイクルを理解し、対処法を知ることで、投資での勝率を高めることができると言いたいのだろう。
マークス氏の教えが至るところで模式図で示されており、理解を助けている。

(アマゾン)『市場サイクルを極める – 勝率を高める王道の投資哲学』

マークス氏の市場サイクル論についてはフィナンシャル・ポインターにて再三取り上げている。
ここでは、本書の中から市場以外のサイクルについて書かれたユニークな部分を紹介しよう。
それは人間、そして投資家のサイクルであり《人間万事塞翁が馬》とでもいうべきメッセージだ。


成功から得られるものにほとんど価値はない。
成功した人は、自分が幸運だった、あるいはほかの人の力添えがあった、という事実を見過ごす恐れがある。
投資で成功すると、人はカネ儲けが簡単であり、リスクを気にする必要はないと思い込んでしまう。
この二つは成功がもたらすとりわけ危険な教訓である。

マークス氏は、こうした驕りが投資の分野での持続的な成功を難しくするという。
さらに、成功がもたらす人気が、投資商品や投資戦略まで凡庸なものに変えてしまうという。
パフォーマンスが優れていれば資金や人が集まり、それゆえにリターン率は低減していってしまう。

逆もまた真なりだ。
パフォーマンスが劣っていたり、人気が薄かったりすれば、資金や人が集まらず、思わぬ掘出物になるかもしれない。

マークス氏は前著『投資で一番大切な20の教え』を自ら「投資哲学」と呼んだ。
この老投資家の言葉は前著でも本著でもしばしば抽象的であり、哲学的だ。
マークス氏の言葉に触れるにつけ、投資は精神力であり、しいては品格さえ求められていると思い知らされる。
本書にもその魅力が満ち満ちている。

すべては浮き沈みの問題である。
投資においては、物事はそれが機能しなくなるところまで機能する。
あるいは、・・・「簡単でなくなるまでは、簡単なのだ」。


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