ハワード・マークス氏は、投資で勝つためには「知識上の優位」を持たなければならないと説く。
ところが、現代の投資環境はそれを難しくしている。
当局は情報が公平にいきわたるよう促し、発行体も公平な情報提供を心がけ、そのためのインフラも充実している。
この公平な投資環境で、投資家はどのように「知識上の優位」を実現できるのだろうか。
「だから二次的思考が必要なんだ。
一時的思考者より高いレベルで考えないといけないということ。」
マークス氏は、二次的思考を具体例で説明する。
一次的思考:
「フォードが素晴らしいマスタングの新モデルを発売するからフォード株を買おう。」
しかし、この情報は広く行きわたっており、すでに株価に織り込まれているだろう。
二次的思考:
「みんなが考えるほど新モデルが素晴らしいとは思えず、新しいマスタングの件は株価に過剰に織り込まれていると思うので、フォード株を売ろう。」
ところが、二次的思考者になろうとする上では落とし穴も存在する。
他の人と違えばいい、逆張りならいい、というわけではない。
他の人より優れた意見でなければいけない。
それを見分けるのには、再びメンタルが重要になってくる。
それは、マークス氏が重んじている『知的謙虚さ』だ。
自分だけが賢いのではなく、他の人が正しいのかもしれないと思う謙虚さを忘れてはいけない。
その謙虚さを持ちつつ「知識上の優位」を実現するのは相当に難しそうだ。
逆に、難しいことを実現するからこそ、平均より上を実現できるのだ。
ほとんどの場合、ファクトに関して、一匹狼よりコンセンサスの方が正しい。・・・
コンセンサスが表という時にいつも裏に賭けていたら、おそらく破産するだろう。
まれにコンセンサスが間違っているのを見つけることができ、まれにコンセンサスの意見が株価に誤って織り込まれているのを見つけることができる。
その時こそがあなたが勝てる時なんだ。
マークス氏のいつものヤツであって、目新しいことはない。
また、こういうレッスンは具体的な儲け方を教えてくれるわけではない。
それでも、いつも思い出しておく価値のある話だ。
むしろ、具体的な儲け方を教えてくれる人やメディアがいるなら、そちらの方こそ眉に唾してかかるべきだ。
その時こそ、まさに二次的思考の出番になるはずだ。