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AIが肩越しに人間を学習しようと見張っている:アスワス・ダモダラン

アスワス・ダモダラン ニューヨーク大学教授が、AIが雇用や既存ビジネスを破壊するとの考え(具体的にはシトリニ・リサーチによるレポート)にコメントしている。
同レポートで示されたシナリオが予測ではなく、(時間軸を含め)実現確率の付されていないシナリオ提示にすぎない点を指摘し、誤解を与えうるものだったと評している。


ダモダラン教授の指摘・分析はもっともだが、もっともなだけに凡庸だ。
ここでは、教授個人が技術革新によって破壊されないようにしているとのくだりを紹介したい。

「魔物はビンから外へ出てしまった。
AIが普及する中であなたが生き続けようとするなら、唯一の道は、あなたの日々の行動の多くをAIツールが自動で実行できる現実に備えて、それでもあなたが必要とされるためのニッチや堀を作ることだ。」

ダモダラン教授が自身のブログで、AIが発展していく中での生身の人間の生き残り策を書いている。
実は、教授には大学の同僚が作成したAIによる分身「ダモダラン・ボット」が存在する。
ボットは学習を重ねて相当に進化したという。
このボットだけを見ても、日々破壊の脅威にさらされているのである。

ちなみに、ダモダラン教授は、産業レベルで破壊を受けやすい業種、受けにくい業種の特徴を列挙している。

最も破壊されやすい 最も破壊されにくい
若い従業員が多い若い企業(組織の慣性が弱い) 高齢の従業員が多い古い企業(慣性が強い)
高い粗利率・利益率 低い粗利率・利益バッファー
機械的で規則的な財・サービス 人の要素の強い財・サービス
規制当局や法システム等から制度の防御がない・弱い 制度に強く依存し、立法や当局から防御されている

(出典: ダモダラン教授のブログ)

ダモダラン教授は「ボットが近いうちに私よりうまく私の本や記事を書き、クラスを教え、データを分析/提示できるようになるかもしれない」可能性を認めている。
一方で、AIの発展が期待外れに終わる可能性も指摘している。
しかし、杞憂に終わるかもしれないとしても、それに備えるべき理由を「パスカルの賭け」を引きつつ説明している。

フランスの数学者パスカルは賭けを例にして、たとえ神の存在を疑問視していても神を信じる理由を説明した。
神を信じることにより期待される価値が信じないことにより期待される費用を上回るからだ。
AIの文脈で言えば、AIが存在し競合相手が存在すると仮定して行動すれば、教師・銀行家・コンサルタント・ソフトウェアエンジニアとして、何をするにもよりよくやらねばいけなくなる。
AIの影響が最終的にどうなろうと、それが続く。
幸運を!

私たちの前にかつてなく手ごわい強敵が現れた。
それをネガティブに悲しむか、ポジティブに糧とするか、それが問われているのだろう。


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