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AIが成功しても莫大な資本破壊の可能性:デービッド・アインホーン

デービッド・アインホーン氏率いるグリーンライト・キャピタルが、2025年第3四半期の投資家向け書簡で、AIが牽引する経済・市場の問題点を解説し、警戒を続けざるを得ないと述べている。


「グリーンライト・キャピタルのファンド(以下「パートナーシップ」)は2025年第3四半期、手数料・費用差引後で-3.6%のリターン(損失)となった。
同期間のS&P 500のリターンは+8.1%だった。
年初来では+0.4%、S&P 500が+14.8%だった。」

グリーンライトが第3四半期、市場に対しての大幅なアンダーパフォームを報告している。
金を含むマクロが+2.2%、ロングが+0.8%(αはマイナス)、ショートが-6.6%(小さなα)だった。
エクスポージャーの平均はロング90%、ショート60%。

バリュー投資の考え方でロング/ショート戦略を実行する同社からすれば、モメンタムのついた市場環境は逆風でしかないのだろう。
実際、この書簡ではAI投資に関する疑問が大いに語られている。
米経営者が大統領に対し表明するAI関連投資の額があまりにも大きすぎるとあきれている。

「マッキンゼーの推計によれば、2030年までの世界のデータセンター向け総支出は累計6.7兆ドルに上り、うち5.2兆ドルがAI処理を扱う設備への資本支出だという。
でも、この7兆ドル近いお金はどこから来るのか?
資本支出が大きく増加する前の2024年、マグニフィセント7が生み出したキャッシュフローの総額は約5,000億ドルだった。・・・
Mag7の純資産総額は約1兆ドルだ。」

関連企業の財務体力と予想される投資規模のギャップは何らかのニューマネーによることになる。
それを出すのは投資家だ。
書簡では、AIが予想を超える成功を収める場合でも「今からそこまでの道のりは投資家にとって険しいものになるだろう」と予想している。
さらに、LLMに基づくAI技術自体が過大評価されている可能性も指摘している。
AIが行っているのは人間が行う思考や推論ではなく「高度な統計的相関技術と学習したパターン認識」にすぎないと述べている。

(次ページ: AI投資は企業利益を先食いする)


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