GMO共同創業者ジェレミー・グランサム氏が、格差拡大と企業経営・投資の間の関係性について俯瞰している。
21世紀の初めにパラダイムシフトがあり、数十年、企業の利益率が上昇し、GDPに占める割合が上昇した。
グランサム氏がThe Compoundで(欧州と比べて)低い労働分配の傾向を指摘した。
米企業の利益率が上昇し、長い間中央回帰しない理由を尋ねられたことへの回答だ。
同氏は、低い労働分配が一時的・循環的なものでなく趨勢的な変化であると話している。
理由を聞かれると「金持ちや力を持つ者」が豊富なリソースを用いてシステムを維持し「下位50%の人たちからの搾取を止めない」のだと答えた。
グランサム氏は、1975年(フォード政権)から「振り子」が今の方向に触れ始めたと話す。
その後、クリントン政権(1993-2001年)で一旦停止することはあったが、逆に戻ることはなかったという。
「この世界は、ただ金持ちや力を持つ者に都合よく出来ている。」
その前の1935-75年についてグランサム氏は、生産性が上昇し全体のパイが急拡大し、分配の振り子がわずかに逆方向に触れていたと指摘。
「皆にとって完璧な環境」、「経済における大いなる調和」、「黄金時代」だったという。
同氏は、格差を放置すべきでないとし、キャピタルゲインを少し増税し、所得税を少し下げるべきと主張した。
この後議論は独占に対する政府の寛容すぎるスタンスに及んだ。
グランサム氏によれば、政府は巨大企業の優越的地位に対しごく一部の分離等を求めることはあっても完全な分割を強いることがなくなり、すべての産業で集中が進んだと話した。
独占とはまさに利益率のエッセンスというべきもの。
クォリティ株の定義は、安定、高いリターン、無借金だ。
なぜそう定義するのかと言えば、それが実質的に独占の定義となるからだ。
グランサム氏は、クォリティ株が過去100年市場平均をアウトパフォームしている矛盾を指摘する。
リスクの低いAAA格の債券のリターンは低い。
低リスク/低リターンだからだ。
しかし、株式となると、低リスクであるはずのクォリティ銘柄の方が高リターンになる。
同氏は、これがファイナンス理論の基本に反していると示唆している。
そして、これこそ独占が徐々に進行している結果だという。
どうしたら振り子が逆に戻るかを尋ねられると、グランサム氏は「パーティを白けさせたくない」と断りつつ、不吉な未来を暗示している。
これから起こることについて、歴史は「予期せぬつまづき」と振り返るのだろう。
ハイマン・ミンスキーが戻ってきて、考えていたよりはるかに目盛りが高すぎ、はるかにレバレッジ水準が高すぎ、世界のシステムとドルの安定性がはるかに脆弱であることが明らかになるだろう。
入り組んだ尾根のどこが崩れるのかはわからない。
紹介するまでもないだろうが、ミンスキーとは経済危機やバブルについての研究で有名な経済学者。
その名に由来するミンスキー・モーメントとは、景気サイクルの終期に突然資産価格が大幅で連鎖的な下落を始める時点を指している。
