GMO共同創業者ジェレミー・グランサム氏がAIブームについて、他の技術イノベーションからの類推で先行きを占っている。
米株式市場は長い間バブルの領域にある。
遅かれ早かれバブルは破裂し、株価は過去の水準に戻るだろう。
バブルの研究家としても有名なグランサム氏が自社サイトで書いている。
こうした議論は煎じ詰めれば言葉の定義による。
「バブル」をどう定義するか、その定義によりどのような経験則が導かれるか、が重要だ。
そして、グランサム氏の場合、そこがきちんとしている。
GMOではバブルを「資産クラスの価格がその長期実質価格トレンドから2シグマ乖離」した状態と定義している。
この定義の下、全資産クラスにおける過去300件以上のバブルを調査。
数例のパラダイムシフト(例えば1970年以降の原油、資本主義を強めたインド)を除いて「2σバブル」は常に崩壊し、トレンドへと回帰したという。
近年で言えば、グランサム氏は2022年の弱気相場について、事前にバブル崩壊を予想していた。
結果論で言えば、この弱気相場はバブル崩壊とはならなかった。
ChatGPTがもたらしたAIブームがバブルの延命、再拡大に大きく寄与したためだ。
グランサム氏はバリュー投資家と目されてきた投資家。
その一方で、環境問題にも強く関心を持ち、環境保全活動に寄付してきた他、個人として関連技術分野へのベンチャー投資を行ってきた。
そのグランサム氏が、イノベーションとバブルの関係を書いている。
歴史から読み取れるルールとは、偉大な技術イノベーションが大きなバブルにつながるということ。
グランサム氏は「偉大な技術イノベーション」の例として、鉄道、電気、ラジオ、インターネットを挙げている。
AIは「目に見えて印象的なイノベーション」であるがゆえに、強力にバブルを醸成していると分析している。
グランサム氏は、AIがまだその発展の初期段階にすぎないとして、バイオ技術・材料・エネルギーなどへの応用、AI自身によるAIの改良が実現すれば「未来はとても本当に興味深いものになる」と書いている。
「過去において、同様の驚くべきイノベーションが実る前にバブルを迎え破裂し、初期の崩壊から抜け出した後には、初期の投機家が抱いた途方もない夢を凌駕することがしばしばあった。
ただし、グランサム氏は決してそうした未来が明るいと考えているわけではない。
例えば、先進技術を持つ者が持たない者を「無慈悲にそしてしばしば気軽に打ち砕いた」歴史に言及している。
さらには、痛烈で皮肉な結末さえ予想している。
AIは、私たち人類こそ地球の最大の危険であると結論づける可能性があるのではないか!
それは相当に正当化されることだ。
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