ブリッジウォーター・アソシエイツ創業者レイ・ダリオ氏は、世界が資本戦争に踏み込むのではないかと心配している。
歴史上繰り返されてきたことだが、戦争のような状況になれば、国々は互いの債務を保有したくなくなる。
どこかの国が制裁を課すのではないかと心配する。
そうした時期に貨幣を増発すれば、お金や債務の価値を低下させてしまう。
ダリオ氏がBloombergのインタビューで、グリーンランド問題を念頭に資本戦争への拡大を警告した。
米国がグリーンランドの領有を要求したことで、地政学的リスクは東西間だけでなく西側同盟国の間でも高まっている。
互いに仲良くやっていたからこそ、互いに政府債務を持ち合うことに心配を抱かなかった。
関税や制裁が大好きな米国が同盟国から領土を取り上げようとしたことで、米国債保有に心配を抱く国・投資家は増えているのだろう。
ダリオ氏は、それこそ近時の金価格上昇の原因だと話している。
国々が互いの債務(含む貨幣)を持ち合うのをためらうようになれば、それらの需要は低下する。
需給は悪化し、投資家が求める要求リターンは高くなる。
ダボス会議に絡めたメディア・インタビューで見られることだが、とにかくメディアは屋外の絵を使いたがる。
背景はいつも美しい雪景色だ。
気の毒なことに、76歳のおじいさんは寒さに凍えて時々言葉を飛ばしながらも、自身が重要と思うポイントを強調しようと努めていた。
債務サイクルが進行し、所得対比で債務返済支払いが上昇すると、それが支出をスクイーズアウトして問題になり心配されるようになる。
同時に、債券の需要に対して供給が増えると・・・例えば今は多くの債券が保有されていて、誰かの債務は誰かの資産だから、もしもリターンが十分に高くないと問題になる。
米国債の需給悪化は米経済にとって重大な影響を及ぼす。
1つ目は先述のとおり、米政府の利払い負担が増える。
それが政策的経費(国債費以外の歳出)を圧迫したり、財政のいっそうの悪化要因となったりする。
さらには、ドル債の需給が悪化することで、経済成長に必要な民間の資金調達がクラウディング・アウトされてしまう。
もしもグリーンランドで武力行動が一線を越えたりすれば、それら資産の需要に重大な変化をもたらすだろう。
誰がその資産を保有しているかを見れば明らかだ。
幸いトランプ大統領は今のところ、グリーンランドに武力は用いない、と話している。
その一方で、欧州が米国債を売るようなら「大規模な報復」を行うと発言している。
モノを輸入した結果、借金を増やした国が、代金を回収されそうになると「報復」すると言っているわけだ。
いわゆるマールアラーゴ合意を思い出した人も多いのではないか。
外国投資の対象地域を選ぶ時、よく言われてきたのは英連邦の国を選ぶという考え方だ。
英連邦の国々では文字通り大英帝国の時代を経て、投資家の権利を尊重し、法の支配が確立された国が多かったからだ。
とりわけ米国は現在まで日本人にとって最も身近で好ましい投資先だった。
その前提を見直さなければいけない時期が近づいているのかもしれない。
