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【短信】債券と株式が同方向に動く意味:ケン・グリフィン

シタデルのケン・グリフィン氏が、近時の日本の長期金利上昇についてコメントしている。


「明らかに警鐘だ。
国の財政基盤が揺らいでいると、債券自警団がやって来て(国債)価格を押し下げる。」

グリフィン氏がBloombergのインタビューで、日本の財政基盤に対して間接的に疑問符を投げかけた。
同氏は、債券安とともに株安が起こっている点について、投資へのインプリケーションを語った。

「債券と株式が同じ方向に動くようになれば、債券はもはや株式ポートフォリオのヘッジとして機能しなくなる。
そして、ポートフォリオ構築において債券に与えられてきた特別な地位の一部を失う。」

もちろん相場には業績相場もあれば金融相場もある。
それでも通常人々が株式と債券の間の関係について期待するのは逆相関の関係だろう:
株が下がった時に、債券が買われる結果、パフォーマンス悪化が軽減される。
だからクロスアセットのポートフォリオでは株式と債券をともに入れようという考えになる。、
その関係が崩れれば、株式などリスク資産の投資家にとって債券は無用のものとなる。
結果、さらなる債券売り(金利上昇)が起これば、スパイラルな下落になりかねない。

グリフィン氏は、日本の苦境が米国にとって重要なメッセージを発していると話す。

「仮に、米国が信用できず米国債がリスクにさらされていると思われるようになれば、債券と株式の価格は同方向に動くようになる。
市場は債券にはるかに高い利回りを求めるようになり、住宅ローン金利は上がり、赤字国債の費用が上昇してしまう。」

金利上昇が財政を圧迫し、さらに金利上昇を生む、スパイラルに陥りかねないとの示唆だ。

グリフィン氏は財政基盤の安定が重要だというが、「トランプ大統領は危ない橋を渡っているのか」との問いには、やや強気の考えも滲ませている。

おそらくまだそうではないだろう。
米国は多くの富を有し、この程度の財政赤字による支出はしばらく維持可能だ。
でも、方向転換が遅れれば遅れるほど、方向転換の結果はより過酷なものになってしまう。

若い世代の中には、日本政府が昭和40年代(1970年前後)にはまだ無借金だったことを知らない人もいるかもしれない。
バブルのあった1990年頃でも、まだ日本の財政はかなり健全だった。
その後、日本は(日米構造協議などもあり)急速に政府債務を拡大していった。
今では政府債務対GDP比率において先進国で最悪となっている。
もちろん、需要不足を補うなどの面で前向きな役割も果たしたが、ほぼ一直線に拡大した様子にはやはり恐怖を感じざるをえない。
これは財政刺激策が大勢において拡張と収縮のサイクルの形で行われなかったことを暗示している。

最近の米国の財政は、日本に負けずなかなか悲惨だ。
米国がまだ大丈夫というなら、日本もまだ大丈夫なのかもしれない。
ただし、グリフィン氏の言葉の最後の1文は今から覚悟しておくべきことかもしれない。


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