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大暴落の1929年と現在の違い:アンドリュー・ロス・ソーキン

作家アンドリュー・ロス・ソーキン氏が1929年(ウォール街で大暴落のあった年)と現在の違いを説明している。
CNBCでアンカーも務める同氏は、昨年10月に新著『1929』(Amazonリンク)を上梓、同書はベストセラー1位になっている。
レイ・ダリオ氏からも絶賛され、ダリオ氏のYouTubeチャネルで44分の対談が組まれるほどだった。


「よいニュースなのは、現在の世界が(1929年と)大きく異なっていること。・・・
だから、同じ規模の危機が再び起こりえないと信じる理由はたくさんある。」

ソーキン氏がBloombergで、1929年と現在の相違点をいくつか挙げた:

  • 当時は取引所が頻繁にストップしており、投資家が適時に情報を得られず不安が高まりやすかった。
  • SECが存在せず、インサイダー取引や市場操作が行われていた。
  • FDIC(預金保険)もグラススティーガル法(銀証分離)も銀行の自己資本規制もなかった。
  • FRBは基本的に対処しなかった。
  • 金本位制だった。

米国では1920年代を《狂騒の20年代》と呼んでいる。
プロ・ビジネスの大統領カルビン・クーリッジ(1923–29年)の下、景気・市場が大きく拡大した。
(プロ・ビジネスの大統領という点で、クーリッジ大統領とトランプ大統領を重ね合わせる向きも少なくない。)
クーリッジ退任後まもなくニューヨーク市場が大暴落し、それが全世界の市場・経済に波及していった。

ただし、ソーキン氏は、大暴落が大恐慌の原因の1つに過ぎず、正しく対処されていれば大恐慌は回避できたはずと話す。
同氏は、その失敗から学んだ教訓がリーマン危機やパンデミックの際に生かされたと指摘した。

クラッシュ、危機、パニックが起こった際の定石は、問題のところにお金を投入することだ。
おそらく不人気だろうが。・・・
・・・市場にはプットが与えられる。

世界は危機への対処法を学び、実際にそれを実行してきた。
モラルハザードや格差拡大といった弊害もあるが、とにかく危機を収拾する効果はあった。

一方、ソーキン氏は1929年より状況が悪くなっている面もあると認め、危機発生への異なるルートの可能性を指摘した。
それは、もはや皆が聞きなれた財政悪化だ。
1929年、米国は財政黒字だったという。
今は多くの人が心配するほどの財政赤字と政府債務が存在する。
米国債への投資家が高い利回りを要求するようになれば、財政再建へ舵を切るしかなくなり、それが深刻な不況をもたらすかもしれないという。
ソーキン氏は、米財務省が(安定的な資金繰りを犠牲にするかもしれないのに)低コストで済む短期国債での資金調達に大きく依存している点に危機感を示している。

ソーキン氏は、現在が1929年より脆弱となりうるもう1つの要因を語っている。
1929年は情報伝達が遅すぎるのが問題だった。
シリコンバレー・バンクを例に挙げ、現在は速いことが問題になりうるという。

正しい情報であっても、よくないことがあるよね?
みんなそれですぐさま行動してしまう。


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