モルガン・スタンレー資産運用部門リサ・シャレット氏が、インフレに関しレジーム変化が起こったとし、レジーム変化後の投資のあり方について語っている。
「一歩下がって見て、私たちがこれをレジーム変化と呼んでいる理由は、インフレに需要・供給の両面の両面があるためだ。」
シャレット氏が自社ポッドキャストで、需給両面の要因を挙げつつ、インフレについての「レジーム変化」が起こったと話している。
そしてインフレ時代の投資の要点を語った:
まず第一に皆さんが認識すべきとても重要なことは、過去の高インフレ・レジームにおいて典型的だったのが、株式と債券の正相関だということ。
これが意味するのは、単純な60:40や株式/債券/現金のポートフォリオが完全または最適な分散を実現する力が低下するということ。
それは、投資家に対し、特にフィクストインカム以外の投資を検討させる可能性を示している。
株式と債券の間の相関が正となれば、それら組み合わせて得られる分散効果は低下する。
さらに、インフレが高めに推移する場合、株式こそ恩恵を受けることも多いが、債券には明らかに不利だ。
債券の魅力はやはり下がったと考えざるをえない。
シャレット氏は顧客に対しポートフォリオに実物資産、インフラ資産、エネルギー・運輸の資産、コモディティ、金を加えるよう推奨しているという。
シャレット氏は、インフレのレジーム変化が起こったと主張する一方で、長期のインフレ期待が安定している点も認めている。
(実際、中長期の米ブレークイーブン・インフレ率は、FRBのインフレ目標をわずか超える水準で安定し続けている。)
この期待インフレの安定の原因について、同氏は、投資家の短い記憶、政策決定者への信頼、テクノロジーが及ぼすデフレ的力を挙げ、自身の予想が外れる可能性も率直に認めている。
インフレが安定し続けるという市場のシナリオ、レジーム変化が起こったとする自身の代替シナリオについて次のような対処を奨めている。
「問題は代替シナリオが存在することだ。
私たちのシナリオ、新たなインフレ的レジームにあるというシナリオは市場に織り込まれておらず、リスクはゼロではない。・・・
時として私たちはヘッジをしなければいけない。
強力な構造的逆流が存在するため、分散ポートフォリオや代替シナリオのためのヘッジが望ましい時期に差し掛かっていると考えている。」
つまり、市場はインフレの安定を予想し続けているが、シャレット氏はインフレ高止まりが起こると見ているということ。
同氏の代替シナリオが実現する場合、それは市場にサプライズを起こすということだろう。
