ブリッジウォーター・アソシエイツのグレッグ・ジェンセン氏は、AIバブルがまだこれからとしつつ、いくつものリスク要因について注意喚起している。
私はまだ今後もバブルが続くと考えているが、AIストーリーはより危険な局面に到達している。
ジェンセン氏が投資家向けメールで、AIバブルがまだしばらく続くと書いている。
同氏は足下の状況を説明する:
現局面ではAI投資はまだ加速しており、金利や株価などの伝統的な循環的圧力に対し比較的反応しない状況が続くだろう。
莫大な資本にアクセス可能な多くの人たちが、巨額投資によってこの世界をコントロールできると信じている。
ジェンセン氏によれば、バラ色の未来が信じられているうちは、利上げや株高への危機感、さらには株価下落があってもバブルは止まらないという。
いや、《バラ色の未来》という表現は適切ではないないようだ。
同氏は、AIのレースに参加しなければ消滅するのではないかとの脅威がブームを拡大させているとし、FRB金融緩和期待も相まってバブルを膨張させ続ける可能性が高いという。
ジェンセン氏は、AIブームが「指数関数的拡大」の状況にあるとし、それにともなう4つの危険を列挙した:
- 物理的要素、制約も指数関数的拡大をしている。
- 当初の支出こそ主要テック企業の負担だが、その後はそれ以外の負担を必要とする。
- 成長鈍化でも株価バリュエーションは外挿を続けている。
- 経済成長がAIに依存(米経済成長の1/3)し脆弱。
さらに(メインシナリオではないと断りつつ)AI構築を頓挫させうる4つのシナリオを例示した:
- 資金調達の困難化
- 技術革新による既存設備の陳腐化
- LLMパラダイムが限界に
- ポピュリズムによる規制強化
一般投資家にとって最も興味があるのはAI関連銘柄の株価、バリュエーションだろう。
ジェンセン氏は、1年前からの変化を解説する:
1年前には、このエコシステムのほとんどについて、最も起こりうる結果との比較で目に見えて割安だと考えていた。
今でもAIエコシステムの多くで好ましい見通しを持っているが、状況はもっと微妙になっている。
ジェンセン氏はAI関連銘柄の予想PERの平均が年初まで概ね17倍を超えない水準にあったとのグラフを示している。
その後、4月の急落と急回復を経て、20倍を超えたあたりで調整が入っているのが読み取れる。
以前は割安だったが、今では「ほぼフェアプライス」との解説だ。
「フェアプライス」だからこそ、AIバブルはまだこれからと考えているのだろう。
