オークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏が、今後10年の米国株の予想リターンの水準について言及し、それに対する投資家の対応について警鐘を鳴らしている。
「3.5%のFF金利は歴史的水準より低く、高金利ではない。
過去15年と比べれば高いだけで、これは低金利だ。」
マークス氏がBloombergで、現在の米金利の水準について語った。
政権は利下げを求め、市場もそれを予想しているが、過去の水準と比べれば、現状のFF金利は高いわけではなく、むしろ低いと考えるべきというもの。
自由市場の機能を重視する同氏からすれば「これ以上の利下げにはメリットはない」ということになる。
このインタビューは先日のFOMCや先日のMemoに関する質問が多くなっている。
その中で一点、マークス氏がどちらかといえば「低金利」と考える環境での投資リターンについての話題があった。
歴史的に見てどちらかといえば低いFF金利において、その影響を受けている債券・株式等がどのようなリターンを上げるのかというテーマだ。
「すべてのものがFF金利に合わせた価格になる。
債務の分野では、ほどほどのリータンを上げることになるだろう。・・・
OKであり、豊かではないが、不適切でもない。」
マークス氏は債券市場についてはそれほど心配していないようだ。
むしろ心配は米国株市場の方にある。
過去とPERを比べてみると、とても低い予想リターンになるような価格になっている。
歴史的に、このPERで買うと、その後10年でのリターンは平均して1桁のとても低い方になっている。
同様の経験則はゴールドマン・サックスのデービッド・コスティン氏も指摘していた。
同氏は、予想リターンとして3%近傍を示唆していた。
残念ながらマークス氏は「1桁のとても低い方」について具体的な数字を語ってはいない。
現在の米10年債利回りは4.1%超。
素人考えでは
「1桁のとても低い方」< 4.1%超
と想像するのではないか。
仮にそうなら、今後10年について、株式でなく債券を選択する可能性も出て来る。
もしも米インフレ再燃を強く心配して債券に躊躇しているなら、物価連動債という選択肢もある。
(現時点で米国債利回りは人為的に抑制されておらず、米物価連動債利回りもまた然りである。)
さて、論点を米国株に戻そう。
マークス氏は、投資家がいまだに株式の中にばかり解決策を模索している現状を心配している。
現在はほどほどのリターンのシナリオの中にある。
問題は、ほどほどのリターンのシナリオの中で、どうやって高いリターンを得るかだ。
ほとんどの人が駆け込んだのが、より多くのリスクを取るということ。
このやり方は、何か特別なことがない限り、私がやりたくないやり方だ。
