オークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏が、AI投資に臨む上での基本とアドバイスを語っている。
バブルの最も興味深い側面の1つはその規則性にある。
タイミングではなく、進行のしかただ。
マークス氏がMemoで、バブルの進行に決まったパターンが存在すると書いている。
そのパターンとは:
- 何か革新的と見えるものが表れ、人々の心をつかむ。
- 初期の参加者が大きな利益を得る。
- 傍観者がFOMO(取逃す恐怖)に駆られ、軽率に殺到する。
- 短中期的に投資家に痛みが走る。
- 長期的にはイノベーションの恩恵を受けることもある。
こうしたパターンが繰り返す理由としてマークス氏は
- 人の(前回バブルに対する)記憶が短い。
- 前例のない「夢」の持つ可能性を「無限」と見がちで、その魅力に抗しがたい。
だからこそ新たな夢の信奉者、とりわけ歴史を知らない者は毎回「今回は違う」と言い出すのだろう。
マークス氏はいつものとおり
「今回は違うとの信念に基づく行動こそが今回も違わない結果をもたらすということを肝に銘じておかないといけない。」
と警告を発している。
なお、上記パターンの最後の項目、バブルにも恩恵がありうるとの記述について、マークス氏はあるニュースレターによるバブルの分類を引きつつ解説している。
バブルには「平均回帰バブル」と「変曲点バブル」があり、前者は単に資産価格が大きく振れること、後者を何らかの展開に基づくものと分類する。
仮にAIがバブルだとすれば、それは後者に属する。
バブルが崩壊すれば投資家に痛みが走るものの、社会はAI発展の恩恵を受けるというわけだ。
いわば、資本主義のメカニズムによって、投資家の屍の上に社会の発展が築かれるといった具合だ。
マークス氏は問題の本質を端的に指摘する:
カギとなるのは、進歩の過程において富を破壊される投資家にならないことだ。
多くの人が信じているようにAIが社会に大きな進歩をもたらすなら、仮にその過程で多くの投資家が損失を被っても、社会にとっては許容されうることかもしれない。
しかし、個人にとって損失が可能な限り回避すべきものであるのは当然だ。
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