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ドルは王様であり続けるが・・・:ケネス・ロゴフ

ケネス・ロゴフ ハーバード大学教授が、今後数十年の世界の経済地図について予想している。


「金利は景気後退になれば下がるだろうが、長期的には上昇するだろう。」

ロゴフ教授がFinancial Senseで、今後の経済・国際関係について語っている。
IMFチーフエコノミストも務めた教授は、米国をはじめとして悪化する政府財政について心配する。
財政危機を測る特定の指標(債務対GDP比率など)は存在しないとしつつ、財政が相対的に悪化していくことの問題点を語っている。

「今後5-6年のうちに(何らかの危機が)あるだろう。
最近はそうした頻度で起こっている。」

ロゴフ教授は、ある頻度で何らかの危機が起こることが避けられないことを覚悟すべきと考えている。
過去においてはその度に大きな財政出動が行われ、危機から社会を救ってきた。
(特にパンデミック時、教授は惜しまず財政出動すべきと主張した。)
一方、その結果として政府債務は高止まりし、危機への対応力が低下したと心配している。

「米国をはじめ各国ですでに起こっているように、借金が増えるにしたがい、最終的には景気後退・金融危機・パンデミックの時に大きな財政赤字による手当てを行うのに消極的になっていく。
それこそ大きな債務を背負うことの問題点だ。・・・
手段を使い果たし、債務を増やす選択肢を使い果たしてしまう。」

雨の時に差す傘がなくなってしまうという危機感が、雨が止んでいる時になすべき現実主義的考えにつながっている。

「(危機の時に)徹底的に支出したいなら、そのための課税を受け入れなければならない。」

しかし、現実の各国政策を見る限り、そうした現実主義は明らかに嫌われている。
世界ではもう1つの現実主義(インフレ税による解決)が好まれているようだ。

10-20年後の世界の変化を尋ねられ、ロゴフ教授は「より多極化した」世界を予想した。

中国はアジアやその金融ネットワーク・通貨の及ぶ途上国の一部により食い込むことに成功しているだろう。
欧州は・・・防衛において一体感を強め、ユーロは重要性を増すだろう。
インフレ危機が再び起こるだろう。
米国が財政危機に陥り、最終的には対処がなされるだろう。
でも、最後にはより多極化した世界になる。
ドルは王様のままだが、その王国は今ほど大きなものではなくなるだろう。


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