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間違いなくバブルだ:レイ・ダリオ

ブリッジウォーター・アソシエイツ創業者レイ・ダリオ氏が、バブルについて独自の理解・定義を示し、破裂の条件を解説している。


株式または株式市場がバブルなのか否かについて、企業が長期的に現株価にふさわしいリターンを上げるだけの収益力を持っている否かを見ることで評価しようとする人たちの話を聞くたび、彼らはバブルの力学を理解していないのだと内心思う。
投資が儲かるかどうかはもちろん大切だが、それはバブル破裂の主たる理由ではない。

ダリオ氏が自身のSNSで、バブル崩壊の力学について解説している。

ダリオ氏の「理解していない」との指摘はやや厳しすぎる。
要は、興味の対象の問題だ。
批判の対象となっている人たちは、ある意味で学問的にバブルを定義し、現状を分析しようとしている人たちだ。
理屈の上では間違っていない。
しかし、市場と向き合っている人ならみな知っているが、そうした評価・分析はほとんど役に立たない、せいぜい後知恵の類で終わる。
バブルはバブルと思われていてもさらにかなり長く膨張しうるものであり、学問的知見の予見性は相当に低い。
実際に経済・市場に向き合っている人にとって重要なのはバブルか否かではなく、いつそれが弾けるか、ある程度正確なタイミングにある。
ダリオ氏が最も興味を持っているのは、そのタイミングなのである。
では、いつバブルは破裂するのか。

「債務返済に必要なお金がストックから生み出されるお金より大きくなると、金融資産を売らざるをえなくなり、それが価格を押し下げ、バブルの力学が反転して破裂の力学に転じる。」

ダリオ氏は、バブル「破裂の力学」を金融資産の保有者の資金繰りに求めている。
貨幣需要が貨幣供給より大きくなると、バブルは弾ける。
貨幣需要の主要な内訳が債務返済だ。
その力学において重要なのは、債務または信用の量なのである。
同氏によれば、バブルの発生は次のように描写される:

「金融資産の購入が莫大な債務拡大によって賄われ、お金の総量に比べて富の総量が上昇する(つまり、お金よりはるかに大きな富が存在する)ようになると、それがバブルを生み出す。」

投資対象のファンダメンタルズから議論する正統的アプローチとは全く異なる視点だ。
まさに、マクロ・ヘッジファンド的視点と言える。
確かに、民間債務が膨張していない時、バブル崩壊を心配する人は少ない。
(公的債務が膨張している時に心配するのはバブル崩壊というよりインフレや通貨危機だ。)
その点で、債務に特に注目するアプローチは(正統的な経済学ではないかもしれないが)傾聴に値するものだろう。

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