ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏が、金融商品全般の割高を指摘し、現金を積み増すよう促している。
近年は、ゴミ融資は公開市場には向かわない。
ゴミ融資はプライベート市場に向かう。
ガンドラック氏がBloombergで、債券市場にかかわる最大の心配事を尋ねられ、2つ答えている:
政府による米長期国債による調達と、プライベート・クレジット市場だ。
前者については以前から衆知のテーマだが、後者については最近注目が集まっている。
ガンドラック氏は、プライベート・クレジット関係者が専らシャープ・レシオを売り文句に使う点を問題視している。
このレシオはリターンをシグマ・リスク(標準偏差)で割ったもの。
そもそも公開市場の商品ほど現実に見合った値付けがされない(十分な評価替えが行われない)プライベート市場の商品では、シグマは小さくなるのが当たり前。
それなのに、プライベート市場関係者はシャープ・レシオの高さをセールス・トークに用いているという。
ガンドラック氏は、シャープ・レシオがそれほど重要ならば、シグマがゼロ(評価替えのない)譲渡性定期預金を買えばよいと皮肉っている。
「今まで2年ほど言い続けてきたのは、金融市場における次の大きな危機がプライベート・クレジットになるということ。
2006年のサブプライムローン再証券化と同様の落とし穴だ。」
最近、プライベート・クレジットを一般投資家に販売しようという話が増えている。
従来は大学基金や年金などが購入してきた資産クラスだが、流動性に劣る投資を抱えて資金繰りに窮している例も見られ、新たな流動性を取り込みたいとの思惑だ。
こうした動きには、危うさを抱える資産クラスを一般投資家にはめ込もうとしているとの批判さえある。
流動性を持たせればよいかといえば、そう単純な話ではない。
そもそも原資産に流動性がないことは変わらない。
ガンドラック氏は(プライベートクレジットを)「日々売買される公開証券に証券化するなら、それは商品の流動性のなさとの完全なミスマッチになる」と警告している。
(次ページ: ガンドラック氏によるポートフォリオ配分のアップデート)
