ジェレミー・シーゲル教授が、米2企業の破綻についての見方を述べ、金や暗号資産についてやや前向きな考えを示した。
「私がさほど心配していない理由は、投機的格付の債券の市場が大きく反応していないことだ。」
シーゲル教授がウィズダムツリーのポッドキャストで、トライカラーやファーストブランズの破綻について、現時点では大きな懸念事項ではないとの見方を示した。
教授が「反応していない」と言ったのは、ハイイールド・スプレッドがほとんど拡大していないということだ。
(ただし、これを安心材料でなく不安材料と捉える人もいるかもしれない。)
先月破産法7条を申請したトライカラーはサブプライムの自動車ローンを提供する会社。
信用力の低い買い手にローンで自動車を販売し、そのローンを証券化していた。
貸し倒れが発生しても自動車を差し押さえることで一定の回収が可能との触れ込みだった。
(当然この破綻は、妥当かどうかは別として、2007年のサブプライム(住宅ローン)危機を連想させた。)
同社は、1台の車に複数の自動車ローンを紐づけていたとの不正が判明している。
ファーストブランズは自動車部品メーカーで、先月末に破産法11条を申請している。
同社の場合、経営陣から資金の流れまで謎に包まれている。
23億ドルの資金が消えたとの申立てもあり、理由もわかっていない。
すでに2011年以降いくつかの訴訟を起こされていたが、大手や日系を含む債権者からの融資は続いていた。
「・・・これが炭鉱のカナリアなのかどうかは、現時点ではそうではないと思う。
でも、あまりにも多くの資金がプライベート・クレジットやプライベート・エクイティに投じられているから、他にそうしたことが発覚しても驚きはしない。」
シーゲル教授は、ついに4,000ドルを超えた金についてコメントを求められている。
金は上がり続けるだろう。
中央銀行による買い入れが多い。
私はこれを多様化のためにドル離れが起きているとは言わない。
ドルはいまだ重要な準備通貨だ。
しかし、これは選択の問題なんだ。
シーゲル教授は金相場の上昇モメンタムが継続していると指摘し、モメンタムに追随すると選択するのなら買いだという。
教授はビットコインやイーサリアムについても、考え様によってはヘッジとして「可能性はある」と少し前向きな言い方をした。
また、今年に入りビットコインの価格変動がかつてほど大きくなくなった点も指摘している。
(もっとも現在の暗号資産の買い手が価格変動の小ささを求めているのかは疑問符が付くだろう。)
シーゲル教授が金や暗号資産に対し前向きなのはあくまで短期のヘッジ手段としての話だ。
教授が提唱してきた長期投資においては、その考えは少しも揺らいでいない。
指摘しているとおり、金は長い目で見て単にインフレを克服するのみであり、株や債券に遠く及ばない。・・・
いまだ長期では、これらのどれについても株式を打ち負かすとは信じていない。