著名投資家レオン・クーパーマン氏がCNBCで現状の市場環境を語る際に、過去のウォーレン・バフェット氏の発言を引用していた。
それは1999年11月のバフェット氏の皮肉っぽい発言であり、すでに聞いたことのある人も多いことだろう。
1999年終わりとは、言うまでもなく、ドットコム・バブルが佳境を迎えつつある時のコメントだ:
一たび強気相場が始まり、どんなやり方をやろうがみんなが儲かる時点に達すると、群衆はゲームに引き寄せられていく。
そのゲームでは、金利や企業利益ではなく、単に株を買っていないと間違いのように思える出来事に反応するようになる。
群衆は実質的に、市場を動かすファンダメンタルズの要因の上に『パーティーは見逃せない』とする要因を重ねてしまう。
パブロフの犬のように、これら『投資家』は、この場合ニューヨーク証券取引所が9時半に開くと、ベルが鳴り、餌がもらえると学習する。
この日々の条件付けにより、彼らは神の存在と神が彼らを金持ちにしたいと願っていることを確信するようになる。
クーパーマン氏は、バフェット氏が描いたこの構図が今再現していると指摘。
さらに1970年代初めのニフティフィフティ相場に似ており、景気後退や過剰投資の顕在化が起こりかねないと話している。
景気は底堅いのにFRBが利下げをするという構図は1990年代半ばとよく似ている。
理屈で考えても、こういう環境では株はどうしても上がってしまう。
1990年代後半との最大の違いは米財政の状況だ。
1990年代終わり、米財政は奇跡的な黒字化を実現していた。
一方、財政やインフレの面でも類似した時期と言えば、同じくクーパーマン氏が言及した1970年代が挙げられよう。
現状、市場がバブル突入の気配を強めていると言っても過言ではないだろう。
そして、このプロセスでは往々にして主役が機関投資家から一般投資家へ後退する。
お腹いっぱいの機関投資家は自己勘定や受託資産においてはアクセルを緩め、かわりに衝動によって行動する一般投資家が主役に躍り出る。
機関投資家はすべての荷を下ろすことはできないものの、その一部を一般投資家に肩代わりしてもらうことができる。
相場は永遠には上がり続けないから、次の調整・下落局面では後追いを続けた一般投資家が大きな負担を背負い込むことになる。
これが次のサイクルにおける相場の肥やしとなり、機を見るに敏な投資家が焼き畑を耕す助けになるのだろう。