世界の経済・市場・地政学について不安材料を指摘する人はいつになく多い。
それでも米市場は今、強気一辺倒が通るようなムード、モメンタムらしい。
まずは《永遠のブル》ジェレミー・シーゲル教授による、強い市場に対するコメント(CNBC):
これ(現在の強い相場)が告げているのは、マーケット・タイミングをやろうとするなということ。
相場は人を騙す。
長期的にはたくさんのプラス材料がある。
シーゲル教授の論点:
- NVIDIAは「全く信じられないような会社」であり、4兆ドルの評価に値する。
- AI活用の普及を願っている。コスト削減・生産性上昇により関税による物価上昇を緩和する。
- 減税の話題は終わり、第3四半期は関税の影響(企業努力)が中心になる。
- AIを活用できる人は仕事に就けるが、できない人は失う。
次はゴールドマン・サックスのデービッド・コスティン氏の減税法案へのコメント(Bloomberg):
明確化は・・・ポートフォリオ運用や企業にとってとても重要なものだ。
企業経営者は、設備投資・配当政策などについて検討しているが、すべてが政策の先行きの明確化で後押しされる。
コスティン氏の論点:
- 経済は鈍化しているものの、まだ成長している。
- FRB利下げは9月に始まり、来年も2度を予想。
- 金利も下落が予想され、10年債利回りは4.2%程度を予想。
- S&P 500のPERは22倍を予想。指数は年末6,600、12か月後6,900を予想。
- 市場は関税問題が最終的には解決すると見ており、注目は企業の勢いへ。
- 過去90日間のS&P 500の25%上昇は極めて少数の銘柄が牽引し、中程度の銘柄は11%下げた。出遅れ銘柄の中にチャンスがありそう。
最後にモルガン・スタンレーのマイク・ウィルソン氏の財政問題へのコメント(CNBC):
民間経済の成長を早め、生産性を高めないといけない。・・・
株式市場は、多くの懐疑派の意見より大きな実現性を信じているようだ。
ウィルソン氏の論点:
- ドル安・AI・減税などが追い風に。関税や企業業績は悲観したほどではなかった。
- 第3四半期から関税のリスクが大きくなる。
- 原油価格が下がり、ガソリン価格にはまだ下げ余地がある。
- NVIDIAのような巨大企業の本当のリスクは、大きいことではなく、独占が維持できるか。
- 金利は株価の主たるドライバー。だから小型株をアンダーウェイトしている。AIによる生産性上昇が重要。
- 政府の合理化により民間産業のクラウディング・アウトが解消するか、2026年を注目。
何が本音で何が外向きの表現かはわからないが、一様に強気のスタンスだ。
深刻と言われる財政問題などお構いなしのトーン。
賢者の話さえこうなる理由は、これまでも米市場はそうだったから、それを賢者がよく知っているから、だろう。
強気相場とは理屈が生むものとは限らない。
強気相場はそれが終わるまで続く、というのが現実なのだ。