ブリッジウォーター・アソシエイツ創業者レイ・ダリオ氏が、イスラエル/イラン紛争の経済・市場への影響について語っている。
米大統領による(2週間以内に攻撃に参加するか否か決めるという)イランへの脅しの直後、実際のイラン核施設への攻撃の直前に行われたインタビュー。
「直接的な経済面の要素を言えば、極めて高いコストをともない、国々が破綻すること。
間接的には、すべての人が影響を受けることだ。」
ダリオ氏がFox Businessで、戦争が国の財政に大きな負担になるとの経験則を語った。
同氏は、かろうじて戦争の明るい面についても触れている。
「歴史上、中東での戦争は比較的短い戦争が多い。
条件付きで、潜在的にすばらしい結果になりうる。
条件とは、イランで体制変更が起こり、それが中東の平和につながること。
おそらくさらには、イスラエルで体制変更が起こり、より大きな地域の平和等をもたらすことだ。」
もちろんイランにも反体制の考えを持つ人は多いだろうし、戦争に負けてよい方向の変化が起こることもあるのかもしれない。
ただし、だから他国、とりわけ核施設を爆撃してもいいという話にはならないだろう。
それがわかっているからこそ、ダリオ氏はイスラエルでの体制変更にも触れたのだろう。
ここでは「すばらしい結果」の可能性を絞り出したように聞こえる。
ダリオ氏は、イスラエル/イラン紛争の経済・市場への影響度を次のように予想している。
もちろん事態が制御不能になる可能性もあるが、その可能性は小さいように見える。
こうしたことについて、市場は現実に起こるまで織り込まない。・・・
市場・経済への影響という点では波及効果は大きくないだろう。
どちらかと言えば状況が良くならないとも言えないから、みんな様子見だ。
このインタビューの後、仮定の話が現実のものとなった。
月曜日以降の市場はどう反応するだろう。
ダリオ氏はこれまでも、戦争では勝者も敗者も多くを失う、本格戦争なら富の保蔵が難しいとの経験則を紹介している。
なお、この出演はダリオ氏の新著『How Countries Go Broke: The Big Cycle』の紹介のためのものだった。
同氏は、この紛争に気を取られて債務問題・貨幣の価値・金利といった重大問題への対処がおろそかにならないよう釘を刺している。
確かに、内政が思うようにならない時、国際紛争を始めるのは、行き詰った政府の常套手段である。