モルガン・スタンレーのマイク・ウィルソン氏が米市場について、4月底値は堅いとして、今後6-12か月について強気の予想を語った。
要するに、遅行しているハードデータは今後数か月軟化する可能性が高いが、それを株式市場はすでに4月に織り込んだ。
ウィルソン氏が自社のポッドキャストで23日、年後半から来年前半にかけて強気の見通しを語った。
仮に景気後退入りする場合でもマイルドな景気後退に留まると予想し、その限りは4月の底値を割ることはないとコメントしている。
S&P 500の4月の底値は4,835.04。
収録前日22日の終値は5,842.01。
ウィルソン氏は強気スタンスの理由をいくつか挙げる:
- 企業業績の底打ち
- 経済成長にマイナスとなる政策の一巡
- 利上げ再開を予想
一方でウィルソン氏は、S&P 500が短期的に6,100を超えるにはさらなる業績改善が必要とも述べている。
長期金利が従前予想より高いこと、関税でEPS低下が見込まれることを理由に挙げている。
また、同氏は、市場が買われすぎの状態である点も認めている。
ウィルソン氏は、FRBが利下げに躊躇する中、米長期金利の動向に警戒している。
現在の10年債利回りは4.5%近傍。
長期金利が4.5%を超える場合、株式・金利の相関がマイナスに転じると予想しているという。
つまり、これ以上の長期金利上昇は株価下落につながるとの見方だ。
ウィルソン氏は短期的にこのリスクを心配している。
最終的には財務省とFRBはこのリスクを管理するためのツールを持っていると考えている。
しかし、短期では、S&P 500が(上昇を)一旦停止し5%調整を起こすカタリストとなりうる。
今後6-12か月での強気見通しに基づき、もしもそうした調整が実現するなら、株式リスクを追加的に取ることを考えている。
つまり、押し目では買え、ということだ。
モルガン・スタンレーでは20日付で中間期の経済・市場見通しを公表している:
- GDP成長率: 年末までに2.5%まで低下
- 米国債と米国株をオーバーウェイト
- S&P 500指数: 年末目標6,500を来年第2四半期に後倒し
- 10年債利回り: 2026年第2四半期までに3.45%
- ドル相場: 今後12か月でDXYが91へ。EUR/USD 1.25、USD/JPY 130
- ドル安が多国籍企業の利益を上押し
- インフレ緩和でFRBは利下げへ