ジェレミー・シーゲル教授が、90日間の米中の関税率引き下げを受けて、ややインフレに対し慎重な側にスタンスを移している。
これ(中国30%、その他10%)は平均で17%の関税率に相当し、過去85年で最高水準だ。
影響がゼロとはいかない。
シーゲル教授がCNBCで、米中通商交渉の進展を歓迎しつつ、慎重姿勢を続けた。
米中両政府は12日、双方に課した追加関税を今後90日間それぞれ115%ポイント引き下げることで合意したと発表した。
これにより、米国は中国への関税率を145%から30%に、中国は米国への関税率125%から10%に引き下げる。
これを受けて12-13日のS&P 500、NASDAQは2営業日連続で上昇している。
シーゲル教授は、米中間の予想外に大幅な関税率引き下げが悪影響を大幅に減らすと指摘し、再び関税率が大きく引き上げられるとは思わないと話した。
その上で、対中関税により短期的に米インフレが1-1.5%程度上昇し、経済成長が鈍化すると予想した。
関税の影響が実際に見えるのは6-7月からだとし、注視する姿勢を示した。
途方もなく高い関税率が示されて以降、シーゲル教授は早急にFRBが利下げすべきと主張してきた。
しかし、今回の関税率引き下げでその緊急性は大きく後退したようだ。
「FRBははるかに柔軟に対応できるようになった。
状況がよくなければ利下げできるし、よくなれば利上げできる。」
シーゲル教授は、関税によるインフレが供給ショックによるインフレであり、一次的には金融政策で対応すべきものではないと考えている。
先行きのインフレ期待(5年先の5年ブレークイーブンインフレ率)に上昇がみられないため、関税によるインフレのホームメイド化を心配する段階にない。
マネーサプライの伸び等も落ち着いており、教授は利下げが引き続き可能との見方だが、むしろ逆に慎重になれる状況になったとの考えのようだ。
シーゲル教授にとって、現時点のリスクは景気後退からインフレ上振れの方に少し移ったようだ。
間違えるわけにはいかない。
データが出て来るまで待つべきだ。