アリアンツ主席経済顧問モハメド・エラリアン氏が、米中による90日間の関税引き下げ合意に関して慎重なコメントを語っている。
一色線とは行かないだろう。
エラリアン氏がCNBCで、今後90日の市場環境を予想した。
米中両政府は12日、双方に課した追加関税を今後90日間それぞれ115%ポイント引き下げることで合意したと発表した。
これにより、米国は中国への関税率を145%から30%に、中国は米国への関税率125%から10%に引き下げることになる。
これを受けて12日の米市場はS&P 500が3.26%上昇するなど株高・ドル高で反応している。
エラリアン氏は、まだ明確になっていない点が多すぎるとして慎重なスタンスを維持している。
FRBの利下げ(後倒し?)、景気動向、消費者行動、政治・安全保障面で、いまだに先が見通しにくいためだ。
今後のハードデータについて次のように予想を語っている。
「私の感じでは、経済は少し鈍化し、インフレは少し上がるというもの。
ほとんどの企業のCEOはまだ今後何か起こるか様子見だ。」
エラリアン氏は、トランプ関税の目的が税収と製造業の国内回帰にあったと指摘。
キャスターが、仮にすべての関税率が10%まで引き下げられたら何が起こるかと尋ねると、エラリアン氏は、税収は大きくならず、国内回帰もほぼ起こらないと予想した。
ただし、対米輸出企業がサプライチェーンを多様化するだろうと答えている。
エラリアン氏は、今後の見通しについて2点、興味深い予想を語っている。
「これはまさに短期はインフレ、長期はデフレ的となるケースだ。・・・
前回私が言ったのは、2つの目的地のどちらかにデコボコ道が続くというもの。
1つは分断、もう1つはより公正な貿易システムで米国がより強くなるというもの。
今は少し後者の確率が増えたが、まだ半々だ。」
エラリアン氏は一貫して米国例外主義の擁護者であり続けてきた。
「解放の日」以降ややトーンダウンしていたが、再びこのコンセプトへの自信を少し取り戻しつつあるように見える。
市場の方はすっかり楽観を取り戻しつつある。
すでに4月中に下げをほとんど取り戻していたが、さらに上を目指す気配を感じさせる。
弱気派と目されてきたモルガン・スタンレーのマイク・ウィルソン氏もCNBCでスタンスを積極化させた。
「『解放の日』が政策変更によるマイナスの底だった可能性がかなり高い」として、S&P 500の年末目標6,500を維持した。