シタデルのケン・グリフィン氏が、「よい投資家と伝説の投資家を分けるもの」について語っている。
生成AIが投資業で使えるかと言えば、少しは使える。
ゲームを変えるほどじゃない。
グリフィン氏がスタンフォード大学ビジネススクールでのインタビューで、生成AIの投資への応用についてコメントした。
同氏によれば、生成AIは生産性向上には寄与するものの、投資のコア部分に革命的進歩を与えるものではないという。
「(ファイナンスの)モデルはこれまでの人類の歴史で起こったことに基づいており、投資とは明日、来年、2年後に起こるだろうことへの理解に関わるものだ。
これは、機械学習モデルがホリスティックに訓練されてきた基礎とは大きく異なる。」
グリフィン氏によれば、機械学習を用いた生成AIは、得意とするデータ間の関係性の理解により「静的な問題」に対しては有効だが、将来の予想には十分でないという。
今後5分間の短期トレードには有効でも、数年のホライズンの投資ではうまくいかないという。
グリフィン氏は自社の投資業務において重要なポイントをいくつか挙げている。
- シタデルはチーム・スポーツ。
- 混乱時にも冷静な人材が求められる。
- リスク・テイカー。
- 勝つことを目標に。
- 明確な競争優位による差別化された視点。
- 間違えた時の対処:
「間違えた時、ポジションを閉じ、誤りを認識し、次のアイデアに移ること。
率直に、悲嘆にくれることなくだ。」
損失は「授業料」。
グリフィン氏は「よい投資家と伝説的な投資家の違い」を問われると次のように語った。
「伝説的な投資家とはいつ有利かをよく知っており、それに乗れる人たちだ。
自分の信念に自信を持っている。
・・・間違った時には次に移る。」
シタデルでは、主要資産クラスからクォンツやマーケットメイクまで幅広い業務を展開している。
近年のヘッジファンド・ランキングでは、創業以来のパフォーマンスで業界No.1と評価されている。
無数の投資戦略を実行する巨大ファンドらしい話をグリフィン氏が話している。
「わが社の最良のストック・ピッカーたちは・・・アルファで見て、54%の確率で正しい投資をしている。」
最強のファンドでも個々の勝率は半々を少し超えるほど。
たくさんの戦略を次々と実行することで、世界一の業績を積み上げている。
結果、少数の戦略の丁半博打でなく、リスクの制御された業績を実現している。
しかし、この勝率は他の職業ではそうそう容認されるものではない。
ファイナンスはとても異なっている。
市場が職業継続の可否を決め、市場が評価制度であり、それは相対評価ではないんだ。