新興国市場投資の草分けマーク・モビアス氏が、タリフマン・ショックに対し、いつにも増してメリハリの効いたポジションを取っていることが明らかになった。
「最初に考えるべきは、すべての新たな秩序、考え方に慣れなければいけないということ。
さらに不確実性にもだ。
不確実性は今後3、4、5、6か月続くだろう。」
モビアス氏がBloombergで、トランプ大統領就任後100日間について尋ねられてコメントした。
同氏のコメントは決して否定的なものではなく、前向きなニュアンスも含んだものになっている。
モビアス氏は典型的な逆張り投資家。
かつての印象的な発言はこうだ:
「私は、市場が下がっている時により幸福を感じる人間だ。
景気後退・大災害・革命の話が聞こえてくると、チャンスがやってくるとわかるんだ。」
市場が混乱に陥る度に、虎視眈々とチャンスを狙うタイプの投資家だ。
しかし、今回モビアス氏の動きはややスローに見える。
タリフマン・ショックが当面続くと見ているからだ。
今回のインタビューでモビアス氏は、トランプ関税によって恩恵を受ける国・企業もあれば、打撃を受ける国・企業もあると話している。
国で言えば、インドは有利、中国は「疑問符が付く」といった具合だ。
ただ、最終的な着地点はまだ見えていない。
同氏は現在、新たな考え方で世界の通商・政治・経済を評価し直しているところだという。
モビアス氏は新興国市場投資の草分け。
まだ皆が敬遠するようなフロンティア市場でもチャンスを求めて積極的に物色を続けてきた。
慎重だが楽観的。
下げが一時的と見れば、喜んで落ちるナイフを掴みに行く投資家だ。
そのモビアス氏が、今回のタリフマン・ショックについては、かなり思い切ったポジションを取っていることが明らかになった。
現時点では『現金こそ王様だ』。
だから、ファンドの私のお金の95%は現金にしている。
S&P 500は世界の牽引役なので、ほんの少しS&P 500に入れて、市場との連動を残している。
新興国市場株式も見ているが、とてもとても慎重だ。
驚くほどメリハリの効いたマーケット・タイミングを狙っているようだ。
本当に劇的に市場の秩序が塗り替わるとの考えなのだ。
3-4か月待って、市場の状況次第で動き出すつもりだという。
それまではドルのリスクフリー資産(利回り4-5%)に置いておくという。