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1970年代、1930年代とよく似ている:レイ・ダリオ

ブリッジウォーター・アソシエイツ創業者レイ・ダリオ氏が、いつものようにブレない経済・市場感を披露し、現状バブル崩壊の原因となりうる一例について繰り返している。


各国ともお金が足りなくなっている。
3つのことが必要だ。
1つ目は増税だが、増税は容易ではなく、金持ちが外国に移住し、税収を失ってしまうかもしれない。
歳出を削減するか?・・・誰のための支出を削減するかといえば、余裕のない人たちのための支出になる。・・・
あるいは、財政赤字を続けるかだ。

ダリオ氏がOxford Unionのインタビューで、多くの先進国が抱える財政問題の深刻さを淡々と語った。
同氏は、英国に特定した質問に対しても、3つの対処法すべてについて「とても困難」と語り、それこそが過去5年で4回首相が交代した一因だと話した。

ダリオ氏は以前から世界が長期債務サイクルの終局に差し掛かっているとの歴史観を示してきた。
時間軸こそ予見できないものの、実際に世界はそのシナリオどおりの展開に吸い寄せられているように見える。
同氏は「ドルの支配は大きく浸食されうるのか」との問いにこう答えている:

「すべての法定通貨が問題を抱えている。
なぜかと言えば、すべての法定通貨が債務だからだ。・・・
債務があまりにも多く存在し、増加している。
だから、お金、債務等々が減価していく。
1970年代、1930年代とよく似ている。」

増えすぎたのは債務やお金だけではない。
「富」という見かけの数字もまた膨張している。

ダリオ氏は最近、さかんに富とお金が異なるものであると説明をしている。
富とは何らかの資産の評価額を示すものであり、資産価格の上昇とともに容易に膨張しうるという。
富とお金の差が大きくなり過ぎた時、バブルと呼ばれるような状況になるという。
(ある意味、資産評価額の貨幣に対する乗数が大きくなった状況をイメージしているのだろう。)

「富がお金よりはるかに多くなった。
これにみんな注意を払っていない。・・・
富対お金は約850%だ。
でも、富とはそれがお金に換えられ使われるまで価値を持たない。
だから、仮に富に課税するなら、どれだけ課税すればバブルが弾けるかという問題になる。」

ダリオ氏は現状が様々な指標からバブルというべき状態にあると考えている。
そして、重要な問題は、それがいつ弾けるかだ。
何がバブルを弾けさせるかといえば、割高の評価額を有する資産が大きく売られることだ。
通常は金融環境が引き締まるような場合に起こるが、今はそうではないという。
債務の借り換え需要は高まるものの、一方で金融政策は緩和方向を向いているからだ。
ダリオ氏は、こうした環境でバブルを弾けさせうる1つの可能性として過度な富裕税導入(特に未実現利益に対する課税)を挙げているのだ。


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